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日本外国特派員協会記者会見に、平野啓一郎、石川慶監督が登場! 映画化に至った経緯や、作品に込めた想いを熱く語る【イベントレポート】

11/1日(火)に原作を手掛けた小説家・平野啓一郎と、監督・石川慶が日本外国特派員協会の記者会見に登壇いたしました。
会場に集まった日本外国特派員協会に所属する記者からの質疑応答に応え、作品に込めた想いをたっぷり語っていただきました。

本編上映後、興奮冷めやらぬ会場に登場した二人は大きな拍手で迎えられた。はじめに石川監督は「こんばんは。監督の石川慶です。本日はご招待いただきありがとうございます。みなさんがこの作品をどのように受け取ったか、感想を聞きたいので、ご質問楽しみにしております。」平野氏は「ある男の原作を書いた平野啓一郎です。招待していただきとても光栄に思います。今日の主役は監督だと思っているので、監督に沢山質問していただけたら嬉しく思います。(笑)よろしくお願いします。」と一言ずつ挨拶した。

早速司会のキャレン・セバンズ氏より、石川監督へ「平野さんの原作をどのように見つけ、どのように映画化されようと思ったのですか」と問われると、監督は「平野さんはほぼ同年代ですので、鮮烈なデビューをされてからずっと読ませていただいております。映画を作る時は、長い時間をかけて取り組むことになるので、ただ面白いだけではなく、数年かけて取り組めるテーマがあるのかどうかをいつも重要視しています。平野さんの作品はとても大きい存在だったので、なかなか手を出せずにいたのですが、『ある男』に関しては、この構造の話であれば、自分の手で映画化できるのではないかと思った作品でした。まず、ミステリーとして純粋に面白かったです。また、私は『砂の器』や『天国と地獄』など、社会問題をしっかりと扱いつつ、エンターテインメントとして成り立ていた往年の日本映画が好きでしたし、映画化するにあたって、原作が良く知られていることも、日本ではとても大事なことなので、この両方を兼ね備えた稀有な原作だと思いました」と回答。

続けて、「実際に映画化されて満足ですか?」と司会から質問された平野氏は「もちろんです。原作に対して、映画化のオファーがいくつかあったのですが、その中で石川監督が手掛けてくださることがとても魅力的で、監督がこの作品を手がけてくれたことを非常に幸福に思ってます。」と答えた。

その後、会場に集まった日本外国特派員協会に所属する記者からの質問に答えた。

外国特派員協会員のQ&A

Q:ルネ・マグリットの「複製禁止」という絵を映画であのように表現した理由についてお聞かせください。
石川:あの絵は平野さんの小説にも出てきますが、映画を作る上であの絵自体が、この物語のテーマそのものだと思いました。また、物語を俯瞰してみる視点が、自分の中で大事だと思っていたので、作中の構造にしています。

Q:文字と映像はかなり違うと思うのですが、完成された映画を観て面白かった箇所、また率直にどのように感じたのか教えてください。
平野:どうしても小説家は物語の構成を、言葉のロジックで考えるしかないのですが、石川監督は映画化されるにあたって、一度物語を解体してから、映像のロジックによって、それぞれの場面を繋いでいくということをされていて。特に前半それが非常に成功しているように感じまして、その手腕に敬服しました。また、原作よりも映画の方が、里枝と「谷口大祐」と名乗っていたXの結婚生活の幸福感が長い尺で描かれていて、そこが原作とは違うところですが、その場面での安藤さんや窪田さんの表情が非常に魅力的で、映画ならではの表情が見えて印象的でした。

Q:本作は釜山国際映画祭でクロージング作品として上映されましたが、劇中では在日韓国人の描写もありました。 現地の観客はどのような反応でしたか。
石川:クロージング上映は、上映後皆さんの感想を聞くことができないので、実際のところはわからないですが、僕の肌感覚としては、それがテーマの映画だとは、多くの人が捉えていなかったと思います。我々としてもそういった社会的なテーマの映画を作ろうとは思ってなかったので、今のところは我々の思っていることが伝わったと思っています。

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