対談 主演:福原遥と原作:汐見夏衛

―― まず大ヒットした前作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(以下「あの花」)の反響の大きさについて、お2人はどのように感じられていますか?

汐見  映画化が決まった時は正直不安もありました。それがヒットしていると聞いてさらに不安になって(笑)。そもそも10代の若い方向けに書いた小説だったので、それが映画になるといろいろな世代の方の目に触れる可能性があるので、いろんな見方をされる方がいらっしゃるだろうなと。でも映画のヒットは純粋に嬉しいことではありましたし、映画をきっかけに昔の教え子から連絡が来たりもしました。「舞台挨拶の映像を見ていたら、先生と似た人が出てるんだけど」って(笑)。(ペンネームなので)名前が違うんですよね。

福原  それは嬉しいですね!

汐見  あとは主題歌を歌ってくださった福山雅治さんのファンの方からもコメントをいただいたり、もちろん福原さんのファンの方もたくさんいて、私のサイン会に毎回いらしてくれる方もいるんですよ。

福原  そうなんですね。私も先生からサインをいただいた原作本は、今も大事に自宅に飾ってあります。

汐見  ありがとうございます。それくらい自分の身の周りだけじゃない、すごい広がり方をした作品だなと感じていますし、これが社会現象ということかと実感させてもらいました。

福原  「あの花」を映画にするというニュースが出た時点で、私の周りでも汐見先生の原作を読んでいる人がたくさんいて、「楽しみ!」って言ってくれたんです。

汐見  それは嬉しいです!

福原  映画が公開されてこんなにたくさんの方が見てくれたんだっていうのは、私もびっくりしました。皆さんのもとに届くまでは私もずっとソワソワしていたんです。でもこんなに作品が広がってくれて、それは汐見先生の想いも多くの方に届いたということなので本当に嬉しかったです。学校で子供たちに見せたいという動きもあったと聞いていて、それも本当によかったなって。

―― そんな続編にして完結編である「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」(以下「あの星」)の製作が決まった時の、率直なお気持ちは?

福原  映画で続編が作られることってそんなにあることではないと思うし、それくらい 「あの花」が皆さんに愛していただけたんだなと思うと嬉しかったです。でもその分、すごくプレッシャーもありました。今回の舞台は現在なのでキャストの皆さんも大きく変わりますし。

汐見  原作は「あの星」の方が、「あの花」に比べるとかなり短いので、すごくチャレンジしてくれんだなと思いました。でも「あの花」をとても素敵な映画にしてくださった製作陣の皆さんには信頼しかなかったので、私は「がんばってください!楽しみにしてます」という気持ちでした。

―― 福原さん演じる百合は前作から7年が経ったという設定ですから、かなり大人の女性になっていますよね。

福原  そうなんです。かなり丸くなったと思います(笑)。

汐見  実際の撮影は3年後なんですが、すごく大人っぽくなられていて驚きました。

福原  私はこれまで生徒役が多く、教師役というのがおそらく初で、「私にできるのかな?」というところからのスタートだったんです。外見はもちろん、内面も落ち着いた大人の百合を表現したいなと思ってがんばりました。

汐見  すごく教師っぽかったですよ!ただこんなかわいい先生がいたら、学校は大変なことになるなとは思いましたけど(笑)。生徒たちに特別授業をするシーンなんて、素晴らしかったです。

福原  あのシーンは緊張しました!ずっと心臓がドックンドックンしてました・・・・・・。

―― 今回から登場する涼(細田佳央太)というキャラクターの魅力についてもお聞きしたいです。

福原  百合に持っていないものを、たくさん持っている人だなと思いました。(『あの花』の)彰(水上恒司)とは違うタイプですけど、皆を笑顔にするパワーを持っている人だなと思いました。

汐見  私もそう思いました。私の想いとしては、もし彰が今の日本でノビノビと育ったらああいう人になるんじゃないかな?と思って書いたキャラクター。ただ周りを気遣う気持ちが強いからこそ、百合のようにしっかり意志を持ってそれを貫く人が魅力的に映ったのかなと思います。細田さんの明るい雰囲気はすごく涼に合っていたと思います。

―― 福原さんは細田さんとは初共演だそうですが、撮影の早い段階からとても息が合っているように見えました。

福原  私も「本当に初共演なのかな?」と思うくらい最初から安心感がありましたし、お芝居をしていても楽しかったです。涼と同じで細田さんにも何でも包み込んでくれるような包容力がありましたね。ただ涼もすごく難しい役だったと思うので2人で悩みながら、たくさん話し合いながら撮影できたので、それはすごく心強かったです。

―― 現在の千代役として倍賞千恵子さんが出演されること作品にとっても大きかったと思いますが、最初に倍賞さんがご出演されると聞いた時は?

福原  本当に驚きました!ご出演いただけるんですか!?と。

汐見  私もまさか……!という思いでした。

福原  本当にまさか過ぎました。倍賞さんと過ごした時間は、私の一生の宝物です。

汐見  千代が今生きていたらこういう人になるよなっていう、私のイメージとピッタリ重なる千代さんでしたね。ちょっとした声の出し方などで、千代の人柄が伝ってくるというか。千代が石丸人形をずっと持っているのも、倍賞さんからのご提案だったと聞いて本当に感動しました。

福原  それは私は知らなくて。本当にすごいですよね。

汐見  手紙だけよりさらに千代の石丸への想いの深さが出ますよね。

―― 新城毅彦監督の演出はいかがでしたか?

福原  撮影前にいろいろお話させてもらった時、私が「めちゃくちゃプレッシャーです」と言ったら、「僕の方がプレッシャーだよ。一緒にがんばろうね」と言ってくださって。

汐見  監督もプレッシャーですよね。私はご挨拶だけでしたが、どんな方なんですか?

福原  一見ワイルドなんですが(笑)すごく優しい方です。
今回、細田さんもかなりプレッシャーがあったみたいなので3人で「プレッシャーに負けずにがんばろう!」と団結して臨んでいました。3人で撮影前にたくさん話し合う時間をいただけたのも大きかったと思います。

―― 「あの花」を経て「あの星」へ。改めてメッセージをお願いします。

福原  私はこの2作品に関わらせていただいて、本当によかったなと思っています。
おいしいご飯が食べられ、自分の好きなことができ、大切な人たちを愛することができる・・・・・・それは当たり前のことじゃないんだと気付かせてくれた作品でもあるので、自分の人生においても大切な2作品になりました。若い方やその次の世代の方たちにも、汐見先生の想いをつなぐことのできるバトンのような作品になっていると思いますので、1人でも多くの方に見ていただきたいです。

汐見  大げさでなく「あの花」は私の人生を変えてくれた作品です。一人の読者さんのTik Tokへの投稿から広がり、「あの星」の映画化まで来たと思うと、もとは自分が書いた作品ですが“自分のもの”という感じではなく、読者さんや観客の方に大きく育ててもらった作品だなと感じています。是非7年後の百合の姿を見届けていただきたいです。

映画『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』