佐藤健さん・土屋太鳳さん×back number 対談

対談者:佐藤健、土屋太鳳、back number(Vo.Gu.清水依与吏、Ba.Cho.小島和也、Dr.栗原寿) ※敬称略
― お互いの会う前と、会った後の印象をお聞かせください。

佐藤:僕は曲を聞いて、凄くシャイな方じゃないかなという想像をしてました。

― それは合ってました?

佐藤:…どうも合ってたらしいです。(笑)

清水:かなり生粋の“シャイーズ“ではある…(笑)元々そうなんですけど、なんかback numberをやっていたら余計シャイになっちゃって。

佐藤:“back number”につられて?

清水:つられてる感じも最近はあるので、不便だなぁって(笑)

土屋:普段から皆さんシャイでいらっしゃるんですか?

清水:そうですねぇ。

栗原:酒の力を借りるしかないよね。

― 土屋さんは(back numberについて)どんなイメージでしたか?

土屋:私は、ずっと「瞬き」を聞いていて、歌と映画が凄く合う方々だなぁと思っていました。映像とマッチしているというか、(映像のみよりも)より伝わってくるものがありました。今日は生みの親に会った気分というか…すみません、伝えたい想いはいっぱいあるんですけど…(笑)

佐藤:…一応掘り下げてみようか…「生みの親」!?(笑)どういうこと、それは(笑)

土屋:歌は凄く聴いていたんですが、映像で拝見したことが無かったので、こういう方々が歌っていて、今日話している姿を見て、凄く嬉しくなりました。例えるなら、歌は「子ども」という感じがして、その生みの親に会った気持ちがします。

清水:親です(笑)

佐藤:「その曲の」ってことだよね、「生みの親」っていうと、どうしても「自分の?」って思っちゃうから。

土屋:「曲の」生みの親です!

清水:生みました。

佐藤:そりゃそうだよね。

― backnumberの皆さんは、このお二人に対してどのようなイメージを持たれていましたか?

清水:もともと持っていたイメージとあまり変わらなかったです。いろんな番組で拝見していて、バラエティでも、凄くナチュラルなお2人なので、凄く度胸があるんだろうな、とか、そういう印象を持っていました。だから今日もすごく落ち着いてますし、うらやましいなって思います。

佐藤:うれしいですね。

土屋:「落ち着いてる」って見えててよかったなと思います。

清水:でもなんか、「自分」を生きているなっていう…意外とこのご時世、「自分」を生きるのは難しい。ちょっと深くなっちゃった(笑)…なので、自分の持ち味というか、「普通にしてる」っていうのが難しいのに、それをされているので、素敵だなと思いました。

― 栗原さんはいかがですか。

栗原:普段画面越しにお会いしている2人、僕が一方的に見ている2人なので、その2人がこうやって今目の前にいるっていうのは不思議な感じがします。

清水:ファンか!(笑)そうだよね、でもそんな感覚。

― 小島さんはいかがですか。

小島:僕はイメージ通りというか。佐藤さんは淡々とお話されていて、土屋さんはちょっと、オチに使われる場面が多い感じで…。何人かに話を振っていって、最後に土屋さんに振ると、「ん!?」という回答が出てきたりというところが、実際聞いていて、凄く楽しく場が運んでいくんだなという感じがしました。

土屋:ありがとうございます。(一同笑)

― back numberの皆さん、今回の映画の主題歌のオファーを受けた時のお気持ちはいかがでしたか?

清水:back numberをやってきて、歌詞を書いたり、みんなで曲を作っていく中で、絶対にこういう曲を書かなければいけないし、これから先必要だし、でも苦手だなぁとか、どこか逃げてるところがあったテーマを、やっと歌えるというところもあります。でも本当に歌えるんだろうか、書けるんだろうか、って言う不安とか、色んなものが入り混じった気持ちでしたね。

― 今回「瞬き」が生まれたきっかけといいますか、どのようにして曲を作り上げていかれたんでしょうか。

清水:最初は、台本を読ませていただいて、そのあとに完成前の映像も特別に拝見させていただいたんですけど、あまり全部を把握してしまうと変な一致の仕方をしてしまうんじゃないかと思って。これは原作の2人に寄り添おうとすればするほど、多分難しくなっていくし、作品に出来なくなる。もう17分とかの曲になっちゃう(笑)。なので、台本から想像するというか。台本を何度も読み返して、閉じた後はなるべく開かないように、そのまま自分の中に生きている物語を書き続けていったと思います。

― そんな曲を初めて聴いたとき、お2人はどう感じましたか。

佐藤:この映画の本質を歌っていらっしゃるなと思いました。僕は演じたからこそ、本質って言う部分に辿りつくことが出来たと思っているんですが、一度話のあらすじを聞いただけではそこまでたどり着けないはずなのに、なんでここまでこの映画の本質を歌っているんだろうとびっくりしたし、感動しました。嬉しかったです。

― 主題歌発表の際のコメントで、奇跡、運命、といったものについて「本当はもっと泥くさくて汗くさくて実はもっとそばにあるものかもしれない」と思われた、という清水さんの言葉があったのですが、本当にこの作品の本質を突いたものだと思います。

佐藤:どこかでやっぱり、尚志さんって言う人物と、back numberの皆さんの持っているものが元々一致していて、だからこそ、原作や我々の映画から切り離して書こうとしても結果一致したんだと思います。むしろ原作に寄り沿って書こうとしたらここまで寄り添ったものは出来なかったと思います。

清水:どのタイミングだったか忘れたんですけど、テーマが決まった瞬間があって。「何のために生きていくのか?」っていう言葉がバッと浮かんできて。多分、この主人公の尚志さんはそんなに大きなテーマで捉えてないし、「誰かの為に生きた」とも思ってない。誰かに褒められたいと思ってやったわけでもない。自分が思う人生を生きるしかないっていう、その辺のイメージまでぶわーっと湧いてきて、これはもう、「(作品に)教えられちゃうな」と思いました。もちろん作品から教えてもらってる部分もたくさんありますが、なるべく自分の中の言葉にしようと思いました。

― 土屋さんは曲をお聴きになっていかがでしたか。

土屋:どうやってこの歌詞を書かれたのかな、と不思議な気持ちになりました。はじめて聴いたとき、私は麻衣さんを演じ終わった後だったので、命の温度とか生きることへの思いとかに敏感になっていたので、さっきまでのお話と重なってしまうんですけど、この映画の本質をすごくよく分かっていらっしゃるというか。清水さんは、“普通の人”で、だからこそいろんな方に共感をさせてくれる歌詞が生まれてくるんだなと。

佐藤:テレビを観てくださっている方とかは、もしかしたら我々を“普通の人”じゃないと思うかもしれないけど、僕たちは圧倒的に自分たちは“普通”だと思っている。ちょっと置かれた立場は違うかもしれないですけど。

― お三方は映画をご覧になっていかがでしたか?

清水:タイトルを聞いただけだと凄くキラキラしたものを想像してしまうんですけど、実際見ていただくと、一つ一つの切り取り方がすごくドキュメンタリーなんですよね。なので、ものすごく生々しくて怖くなるシーンもあるし、だからこそ「人生」が凄く伝わってくるなと、それは強く感じました。

栗原:お2人の演技が凄いというか、映画に入り込んでしまって。自分の凄く身近な友達の話かなと思うくらい、自分がストーリーの中に凄く引き込まれていたなと思いました。

小島:タイトルやあらすじは見たことがあって、結果を知っているはずなのに、途中、本当にこのシーンは辛いなとか、一番最初のシーンでこんなに幸せなものがどうなってしまうのか、というような感情に振り回されたというか、考えさせられた映画でしたね。

― ちなみに、このシーンがよかったとか、印象的なセリフはありますか。


清水:個人的に、「あのとき、実はこう思ってた」みたいなのが好きなんですよ。物語の終盤で、「もう、この瞬間から恋してた」って話すシーンがあるんですけど。そこで「あー!」って。

栗原:バイクのシーンですね。いろんなバイクのシーンがあるんですけど、雨が降ってる時のバイクのシーンがグッとくるっていうか…。なんて表現したらいいかわからないんですけど…。

清水:ちょっと孤独なシーンだよね。

栗原:そうそう。

清水:僕はお母さんの「ありがとう」ですね。どこまで言えばいいのか分かんないですけど、尚志さんに言う「ありがとう」でちょっと我慢できなかったというか、あのシーンが「あー!」ってなりましたね。

小島:目が覚めてから、新たな試練にぶつかるシーンがあるんですが、その時の二人の何とも言えない表情っていうのが印象に残っていて。あれをもし自分が言われた時にどうできるんだろうとか、あの時のお互いの空気感に耐えられないだろうなっていうのは感じましたね。

― みなさんのご感想を聞かれて、いかがですか。

佐藤:有難いですよね。

土屋:「ありがとう」っていうシーンも難しい場面でしたし、「覚えてない」って言うシーンも、まだリハビリをしている最中なので、上手く「て・に・を・は」が入っていると流暢に聞こえてしまうので、そこをいっぱい健先輩と練習させていただいたりとか…。

佐藤:とにかく、「芝居をしてる」っていうふうに見られたくなかったというか。やっぱり現実に起きた話なので、先ほどおっしゃっていただいて嬉しかったんですが、ドキュメンタリーを見ている感覚になってほしい。だからそのために、僕たちは出来るだけセリフを言うんじゃないんだ、喋るんだと。芝居するんじゃないんだ、人生を生きるんだ、という想いで現場にいたので。嬉しいですね、そう言っていただけるのは。」

― 最後に、これから映画を観る方に向けてメッセージを頂ければと思うのですが、何か言い足りないことや聞いておきたいことなどございませんか?

土屋:お会いできて本当にうれしかったです。

清水:僕らの方が何万倍も嬉しかったです(笑)ありがとうございました。

― それでは、改めて曲をどんなふうに聴いていただきたいか、映画をどんなふうにご覧いただきたいか、お話しいただければと思います。

清水:back numberとしては、あまり大げさな歌にはしたくなくて、「幸せとは」とか、「なんのために生きていくのか」とかそういう言葉を使ってはいるものの、きちんと普通に生きている人間が日常の中で思った「もっとこうありたいな」とか「もっと優しくなりたい」とかそういう、普段着な歌になるべくしようと思いました。この映画の主人公たちに起きたことは、誰にでも起こりうることだし、自分たちの人生を有意義に生きていくために、「為になる」って言うのはまた違うと思うんですけど、きっといい栄養になってくれるものだというところにきちんと楽曲が収まったと思うので、是非映画とこの楽曲が流れるときの「あ、こういう歌なのか」「こういう映画なのか」という部分を楽しんでもらえればと思っています。

土屋:人の愛を信じて生まれた奇跡の物語です。愛情とは何かとか、生きるとは何かということ、大切な何かがたくさん詰まっています。back numberさんの歌と一緒に是非温かい気持ちになっていただけたらと思います。

佐藤:尚志さんたちの過ごした8年間は勿論ものすごく壮絶で、辛いこともたくさんあったと思うんですけれども、多分幸せな8年間だったんじゃないかなと思います。8年の末に起きる最高の奇跡に、皆さんも観終わった後きっと幸せな気持ちになっていただけるんじゃないかと思います。ぜひ劇場でご覧ください。