9月27日(土)に行われた映画『ベートーヴェン捏造』監督凱旋舞台挨拶@長野グランドシネマズに、長野県出身の関和亮監督が登壇し撮影中のエピソードトークや観客からの質問に答えた。
大きな拍手で迎えられた関監督は「自分の作品がこんな満員のお客様の前で上映できて、本当に嬉しいです」と挨拶し、地元のアットホームな雰囲気の中イベントがスタート。
2025年は『かくかくしかじか』に続き2本目の公開作品となる本作について、オファーをいただいた時を振り返り、「かげはら史帆先生の原作はかなり分厚くて読み応えがあり、すごく面白かったのですが、19世紀ヨーロッパの物語を、日本の監督、日本の脚本家、そして日本のキャストで映画化することについて、最初は『どうやってやろう』と思いました」と心境を吐露。
脚本を担当したバカリズムとの制作秘話について話が及ぶと「脚本は話が来た時点である程度できていましたが、最初の脚本は、想定していた2時間よりも遥かに長く、1.5倍くらいの量があり、それを2時間にまとめるのが大変でした。会話帳のシーンでは、ただ日本語を書くのではなく、『ドイツ語で書こう』というこだわりをバカリズムさんが持っていて、そのこだわりを反映し、ベートーヴェンとシンドラーの筆談のシーンでは実際に当時のドイツ語で書いたものを使用しています」と明かし、観客の関心を惹いた。
「日本でやるならこのキャスティング」と山田裕貴、古田新太ともにイメージ通りの配役だったそうで、撮影中のエピソードを問われると「古田さんが撮影現場に差し入れていただいた、イカスミ入りの塩辛が大人気でキャスト、スタッフみんなお歯黒になっていました(笑)」と語り会場を沸かせた。
本作は最先端技術のバーチャルプロダクションで19世紀のウィーンを再現。ベートーヴェンの名曲がふんだんに使われ、大きなスクリーンと優れた音響設備で映像と音楽を堪能できるポイントに触れ、「2回目を観るなら、ポイントで出てくる有名音楽家たちの登場シーンをチェックしてほしいです。また、『この人の登場シーンにこの曲がかかっている』『この感情の時にこの曲がかかっている』など、ベートーヴェンの楽曲一つ一つ、こだわり持って選曲しています」とアピール。
当日は観客からの質問に答える時間が設けられ、「2回目の鑑賞で、笑いあり、真面目なシーンもあり面白かった」と感想を添えながら「ショパン役で出演のMrs. GREEN APPLE 藤澤涼架さんとのエピソードについて」の質問に、「初めての演技でとても緊張していたが、山田さんが緊張をほぐしながら、撮影していました。私と同じく長野県出身で、長野県出身同士の絆ということで、一緒に長野県の歌である『信濃の国』を歌いました」という想いを込めて返していた。
さらにフォトセッションでは、ベートーヴェンに扮した劇場スタッフが登場し、花束を贈る場面も。ベートーヴェンの仮面をかぶり、少々ホラー感のある装いに「怖いですね...(笑)」と一言。予想外の展開に会場は笑いに包まれ、笑顔で花束を受け取った。
最後に「長野を離れて仕事をしていますが、それでも長野に来て故郷の皆さんに会ったり、長野出身の人に会うと、親戚に会ったように温かい気持ちになれます。ぜひご家族や親しい方々にも『面白かったよ』と伝えていただけたら嬉しいです」と作品愛がこもった熱いメッセージが贈られ、舞台挨拶を締めくくった。