1795年に現在のチェコ共和国の小さな村で生まれたアントン・フェリックス・シンドラーは、教師だった父からヴァイオリンの手ほどきを受け育つ。18歳でウィーン大学に入学するも、当時のドイツに吹き荒れていた“愛国運動”にのめり込み、逮捕される。釈放されたものの大学を中退し、故郷へ帰ることもできず、ヴァイオリニストとして細々と暮らしていた27歳のある日、劇場のパーティーで大ファンであったベートーヴェンと知り合う。ベートーヴェンの気まぐれで、出会いからほどなくして秘書となったシンドラーは、ほぼ無給で公私に渡り彼を支える。生真面目すぎる性格から次第にベートーヴェンに煙たがられるようになり、たった2年で二人の仲は決裂。それからさらに2年後、ベートーヴェンの甥・カールが自殺未遂事件を起こしたことをきっかけに交流を再開させ、ベートーヴェンを看取ったシンドラーは後に、現在まで残る様々な“ベートーヴェン伝説”を記した伝記を刊行する。現在広く浸透しているベートーヴェン像は、彼の伝記に拠るところが多い。
経歴だけまとめると、「天才音楽家を支え、後世にまでその偉大さを伝えた立派な人物」のように見えるシンドラー。しかし、彼のある行動が、音楽史上最大のスキャンダルへと発展してしまう。彼はどのようにベートーヴェンのイメージをでっちあげたのか、劇場でぜひ確かめていただきたい。
今回は本作のメイン写真と、シンドラーのパーソナリティーが垣間見える場面写真を解禁!
愛するベートーヴェンにしっかりと肩を抱かれ、決意の表情を見せるシンドラー。耳が聞こえないという逆境の中で指揮をとるベートーヴェンをすぐ側で見守るシンドラー。ヴァイオリニストとしての一面も持っていたシンドラーの演奏シーン。耳の聞こえないベートーヴェンと会話をする際に使用していた会話帳を広げ、何かを必死に訴えかけるシンドラー。冗談が通じず、周囲を呆れさせることもあったというほど生真面目なシンドラーの“ベートーヴェン愛”が伝わる場面写真4点だ。
19世紀ウィーンで起こった音楽史上最大のスキャンダルをバカリズムが紡ぐまさかの実話!?「ベートーヴェン捏造」は9月12日公開です。