日本人キャストが19世紀の西洋人を演じる!?前代未聞の世界観を作り上げた、こだわりの衣装&ヘアメイクのマル秘エピソード!
「現代の中学2年生が、音楽教師との会話で想像する19世紀のウィーン」というバカリズム脚本ならではの面白い設定で、主要人物だけでなくエキストラまで日本人で撮影した『ベートーヴェン捏造』。
“中2男子が想像したウィーン”とはいえ、世界観のリアリティを生み出すために衣装とヘアメイクはかなりの工夫が施されている。きゃりーぱみゅぱみゅやももいろクローバーZの衣装を手がけ、本作のスタイリストである飯嶋久美子は「本物を再現するのは準備の時間的に難しいので、すべてを1から作るという選択肢はありませんでしたが、クラバット(ネクタイの原型)はおしゃれを楽しむポイントになるので特に拘りたく、素材違いで40本と立襟のシャツもオリジナルで20着制作しました。」と語る。
また、重要なシーンの一つである古田新太演じるベートーヴェンの『第九』初演の場面では、過去の他の映像作品では黒いジャケットを着用していることが多いが、飯嶋は原作に出てくる緑を選択。資料を持って監督に直談判したという。
「照明が当たると神々しく光る、お気に入りの衣装のひとつです。ジャケットの袖口に付けたフリルもかわいいんです」と話すように、ベートーヴェンが“偉人”となった伝説的な瞬間を印象付ける衣装となっている。
逆に、普段はただの小汚いおじさんであるベートーヴェンの部屋着は、あえてシミやダメージのある古着を解体してコーヒーで汚したり、ヤスリでこすってクタクタにしたりして、加工しキャラクターの性格を表現。
また山田裕貴演じるシンドラーのコートはヴィクトリア期、染谷将太演じるセイヤーの3ピースのスーツは1920年代のものと、非常に貴重な衣装を見ることもできる。
ヘアメイクの駒水友紀は「関監督からは『コントみたいにはしたく無いので、カツラではなくキャスト本人に合ったヘアメイクをして欲しい』とリクエストがありました。当時のヘアスタイルを調べてみると、クリクリの癖毛、独特な分け目、謎のシルエットなど、個性豊かなスタイルがたくさんあったので参考にしました」と撮影当時を振り返る。
青年期から老年期まで演じた山田のヘアメイクについては「若い頃はしっかりメイクをして、ベートーヴェンが亡くなった頃からは髭も隠さない薄いメイクにしました。老けメイクはラテックスを使ってシワを作ったり肌を荒くして、できる限り老けさせました」と語るように、自然に歳を重ねるシンドラーが物語にリアリティを与えている。
観客にとって肖像画のイメージが強いベートーヴェンについては「古田さんご自身のヘアスタイルが、そのままでもほぼベートーヴェンだったのでイメージがしやすかったです。普段のだらしない姿と、舞台に立つときのかっこいい姿の差をつけることを心がけました」と語る。
更に「エキストラの方も、ヨーロッパとアメリカで変えているので、違いを比べて観て頂けると嬉しいです」とこだわった点を明かし、映画を楽しめるポイントを教えてくれた。
“日本人キャストが19世紀の西洋人を演じる”という、前代未聞の設定だからこそ細部にまで創意工夫を凝らした本作。ぜひこだわりの衣装とヘアメイクにもご注目頂きたい!
本作は、大型LEDディスプレイに背景3DCGを表示し、その前で被写体を撮影するという最先端技術を駆使したバーチャルプロダクションでの撮影を実施。リアルなロケーションのようにバーチャル背景を活用して撮影することで、日本に居ながらにして19世紀のウィーンの世界を再現した。
さらに、劇中ではベートーヴェンの珠玉の名曲を惜しみなく使用。リアルな映像×映画館の音響で聴くベートーヴェンの楽曲で、まったく新しい映画体験を生み出す本作をぜひ劇場でご覧ください!!