昨日 6 月 19 日(金)、公開を記念して東京・丸の内ピカデリーにて初日舞台挨拶が開催され、主人公の荒木村重役を演じた主演・本木雅弘、敵方の危険な軍師、黒田官兵衛役を演じた菅田将暉、荒木村重の妻・千代保役を演じた吉高由里子をはじめ、青木崇高・宮舘涼太・柄本佑・オダギリジョーら豪華キャスト陣、そして黒沢清監督が登壇!

約 1,000 人の観客を熱狂の渦に巻き込んだカンヌ国際映画祭での世界初上映から 1 か月。ついに本日より全国公開となった映画『黒牢城』の封切りを記念し、上映終了直後の熱気冷めやらぬ丸の内ピカデリーにて初日舞台挨拶が開催された。
ステージには、主演の本木雅弘をはじめ、菅田将暉、吉高由里子、青木崇高、宮舘涼太、柄本佑、オダギリジョーら日本映画界の至宝ともいえる豪華キャスト陣と本作のメガホンを取った黒沢清監督の 8 名が集結!会場に集まった約 600 名の観客とともに、舞台挨拶の模様は全国 300 館以上の劇場でライブビューイング中継され、日本中のファンが見守る中で盛大に大ヒットの火蓋が切られた。
本作は、密室と化した“黒牢城”を舞台に巻き起こる不可解な事件の謎と、その先に待ち受ける衝撃の真相を描く、戦国系心理ミステリー超大作。



籠城する有岡城で発生した不可解な事件の謎に挑む主人公・荒木村重を演じた本木は「ようやく映画が公開された。作品は新たな航海に漕ぎだす。そして私の“後悔”も始まる。公開されてもなお、自分の後悔が止まないという連鎖、連鎖です」とストイックな挨拶を決めると、織田方の危険な軍師・黒田官兵衛役の菅田、孤立無援の村重を支える妻・千代保役を演じた吉高も、「カンヌにも行かせて頂き、やっと公開かという気持ちで。きっと僕も(自分の演技に)後悔はするんでしょうけれど、今はただただ楽しみです!」(菅田)、「今日を迎えられて本当に嬉しいです。ライブビューイングの方も観てますか~!こちらは元気です!」と続き、それぞれ初日を無事に迎えられた喜びを口にした。
続いて、村重の腹心・荒木久左衛門役の青木は「初日を迎えて嬉しいです。僕は後悔ではなく“爽快”な気分でいかせて頂きます!」と本木の挨拶を交えてポジティブに韻を踏み、若き家臣・乾助三郎役の宮舘も「今日こうして初日を迎えられることを本当に嬉しく思ってます。こんな挨拶で“どうかい?”...失礼いたしました!」と無理矢理繋いで笑いを誘った。
撮影の日々を振り返って本木は「黒沢監督は的確で冷静でブレずに粛々と撮影を進める。いわゆる長回しという恐ろしい緊張を強いられる撮影方法があります。9 ページくらいの膨大なセリフ量で。そこに苦労した」と明かし、「その辺はいかがですか、菅田さん」と菅田にパス。これに黒沢組 2 度目の菅田は「前回はなかったけれど、今回は長回しで OK を貰った時に自然とハイタッチしました。それが嬉しかった」とキャスト陣の絆を紹介。本木も「現場全体が一体となって集中して、ある種ドキュメンタリーを切り取るような瞬間でもありました。それによって画面に張り詰めた感じが生まれたと思う」と、座長としての確かな手応えを覗かせた。



一方、「撮影のエピソードで何かありませんか?」と本木から話を振られた柄本が「山の上みたいなところの撮影では朝 7 時くらいに着いた時に、今日は無理なんじゃないかと思うくらい寒かった」と舞台裏を紹介し始めると、MC の進行そっちのけで本木が話を引き取って「天候に左右されるそんなハプニングも面白味の一つ」などと語り出した本木。これに柄本が「本木さんのトークの回しが上手い!色々なバラエティ番組に出て番宣をしたからだ!」などとツッコむと、本木は「うるさくてゴメンね」と反省するも、すぐに「青木さんはどうですか?」と司会さながらの捌きをみせ、場内は爆笑の渦に!本木から「いかがですか、宮舘は」と指名された宮舘は「合戦シーンのお昼休憩の時に、みんな甲冑を着たまま食事を頂いたんです。僕からしてみたらこれが絶景で。当時もこんな感じで皆さんは食べていらしたのかなと思いながらお弁当を頂けたのは凄く貴重な経験でした」と懐かしんだ。

さらに、村重の密偵として暗躍する重臣・郡十右衛門役のオダギリは「郡十右衛門という名前が覚えられなくて、今日朝やっと覚えた」とシュールなボケを放しつつ、主演映画デビュー作が黒沢監督作である事を明かして「黒沢さんは心の師匠というか、先生のような関係を僕は勝手に持っているので、芝居を見られるのが一番緊張します。だからなるべく黒沢組には参加したくはないけれど、お声がけいただけることの喜びが上回ってしまって、最後にはやります!と言ってしまう。そんな自分が許せない...」と照れ笑い。先日のジャパンプレミアに参加できず今回念願のイベント初登壇が叶った喜びの心境を吐露するオダギリに対し、本木も「ようやくオダギリさんが“天岩戸(あまのいわと)”を開けてくださって。というのは冗談ですが、一緒に参加できたのが本当に嬉しい」と、誰よりも歓迎している様子を見せた。最後に本木から「吉高さん、言い残したことはないですか!?」と振られた村重の妻・千代保役の吉高が、「この現場が大好きです!」と上手くまとめると、会場からは温かい拍手が送られた。
続いて話題は、カンヌ国際映画祭での世界初上映を皮切りに海外メディアから“最高傑作”との称賛が相次ぐ中、米国の著名な業界誌「The Hollywood Reporter」の評論家が本作に寄せた、「『黒牢城』は刀ではなく言葉で斬り合っている。従来のエンタメ時代劇とは異なり、言葉に重きを置いた密室劇のような重厚なスタイルだ。」という大絶賛のコメントへ。
これを受け、「劇中やこれまでの人生において、まさに“言葉で斬られた”と感じるような、心に深く刺さった言葉は?」という、本作の核心に迫る質問が投げかけられた登壇者一同。
本木は撮影中に黒沢監督から聞いた「主人公をギリギリのところまで追いつめて突き落としてから解放する物語が好き」という言葉を挙げ、「全ての黒沢作品に通ずる凄い言葉だと思った」と感心。菅田はそんな黒沢監督から「ホラーが似合う」と言われて嬉しかったそうで、本木も「確かに!読めないような恐ろしさが残る。静かな威圧感がある」と納得し、「監督的にどういう意味合いだったんですか?」と再びトークを回していた。
吉高は「昔おばあちゃんに『あんたは橋の下で拾ってきた』と言われて、それが衝撃でみんなに『私は拾われたらしいよ!』と言いふらした。それを今度はおばあちゃんが商店街の人から聞いたみたいで、物凄く焦って『違う!違う!』と。それが衝撃的でした」と笑わせた。オダギリはベートーヴェンの名言という「苦悩を突き抜けて歓喜に至れ」を金言にしていると言い、青木は本作で共演した渡辺いっけいからの「この歳でお酒が飲めるようなった」という驚きの発言に斬られたという。
そんな中、宮舘は「本木さんから『舘様はカメレオン俳優』と仰っていただいて、そこで夢が出来ました。是非そうなれるように頑張ろうと。これから色々な作品に出会って、本木さんからいただいた言葉の意味を確かめながら」としみじみ。最後の最後に「自分で道を切り拓いていく努力をさせていただこうかなと...」と力を込めるも、「おめ、おめぇました!(思いました)」とまさかの甘噛み...!
これに本木が「バラエティ担当に思われているようで、こういう風に自然に立ち振る舞える身体能力も高い!カメレオンだから!」などとフォローしようとするも、その横で吉高は「おめぇました!?」とツボに入ってしまい、大爆笑で「もう転びまくってるじゃん!」とお腹を抱えて会場の笑いを誘った。
一方、柄本はかつて共演した石倉三郎からかけられたという「やりすぎず、逃げ道を作ることが粋だからな」という金言を紹介。黒沢監督は、村重が威厳を示すシーンの撮影後に本木が漏らした「向いていない...」というストイックな言葉を挙げて「本木さんは頑張ってやるけれど、やった後に『向いていない...』と正直に現場で言う。大スターってこういうことなんだと思いましたし、荒木村重ってそういう人だったんだろうとその瞬間に思った。撮影中は最初からずっと心に本木さんの言葉が残っていましたね」と述べていた。これに本木は「それにずっともがき苦しんだ二カ月だったのは確かにあります。黒沢監督の演出も全体的にとにかく決めつけないでくれという、人間の揺らぎがあってこその荒木村重らしさに繋がるという事だったので、私も監督のそうした言葉に救われていました」と感謝した。

最後に、一同を代表して熱いメッセージを送った黒沢監督。「戦国時代を描く作品は色々ありますが、誰が勝ったとか、誰が天下を取ったとかそういう話が多い。荒木村重はそういうところから抜け出した方。どっちが勝った負けたということをやめて、城を逃げ出した方。そんな村重に、僕は非常に心打たれました。現代にもこういう生き方は通じるのではないかと思っているので、この映画からぜひ興味をもっていただいて、この映画を元に彼について学ばれたり、今の時代をもう一度考え直したりしていただけると嬉しいです」と、監督が優しい眼差しで訴えかけると、登壇者一同は大きく頷き、会場内はもちろん、同時中継された全国の劇場からも盛大な拍手が巻き起こった。
そして、「『黒牢城』、祝、公開!!」の掛け声で鏡開きが行われ、華やかに彩られた記念すべき公開初日舞台挨拶は、映画の特大ヒットに願いを込めて幕を閉じた。