刹那(川村壱馬)、イチヤ(RIKU)、刻(吉野北人)は、弘毅(村上淳)が経営する[MY KNIGHT]で働く“デートセラピスト”。
女性たちを癒やし、救いを与えるKNIGHT、いわば“王子様”だ。今夜も、3人は横浜のとあるホテルでそれぞれの客と会う。
42歳の主婦・沙都子(安達祐実)は、夫の浮気を知りながらそれを追及することもできず、せめてもの憂さ晴らしに若い男とデートをしようと、刻とともに時間を過ごすことにした。しかしふと我に返って、そんな自分に嫌気がさし、帰ろうとする沙都子。そんな彼女を呼び止め、刻が微笑む。
「さっちゃんが本当に今したいこと、俺が叶えるよ」
煙草を吸う、立ちションを観察する、ニンニク増しまし大盛りラーメンを食べる──やってみたかったことを刻と一緒に実現させ、2人の時間を楽しむ沙都子。そして彼女がつぶやく。
「刻くんの日常、もっと見たい」
24歳のmiyupo(夏子)はフォロワー7万人の人気インスタグラマー。イチヤを伴って中華街の人気店を巡っては料理や自分の写真をSNSにアップしていく。だが頼んだ料理には一切手を付けず、すべてイチヤに食べてもらう。そんな彼女をけげんに思いながらも、彼女に言われるがまま写真を撮り続けるイチヤ。
「プロじゃん。なんでこんなに写真うまいの?」
「よく頼まれるから」
次に2人が向かった先は、とある写真展。しかしイチヤはそこで思わぬ再会を果たす。
灯(穂志もえか)は25歳の高校教師。彼女が刹那に求めるのは、「同じ高校の先生として出会い、付き合い始めて2年。結婚を意識している」28歳の恋人・高橋宏役。その“設定”で灯の入院中の母親・佳津子(坂井真紀)に会ってほしいという。聞けば、彼女の母は病気で余命わずかなのだそうだ。洋品店で母親好みのネクタイを買い、モノレールに乗って、言葉少なに母親の病院へ向かう2人。だが、病室に入り、“宏”を紹介しようとした灯に佳津子が冷たく言い放つ。
「久しぶりに顔出したと思ったら、私を捨てるって話ね」
その言葉にショックを受け、灯は部屋を飛び出してしまう──。
一夜限りの夜を過ごした彼らは、どんな朝を迎えるのか…?