不愛想な上にすぐにカッとなるが、家族への熱い愛にあふれているシャルルを演じるのは、フランスを代表する大人気コメディアンのダニー・ブーン。『フランス特殊部隊 RAID』でセザール賞を受賞、本作のクリスチャン・カリオン監督作『戦場のアリア』ではセザール賞助演男優賞にノミネートされるなど、演技派俳優としても高く評価されている。「微笑むたびに人は若返る」など、思わず書き留めておきたくなる言葉で人を魅了するマドレーヌには、最もキャリアの長いシャンソン歌手のリーヌ・ルノー。エイズアクティビストと尊厳死法制化への活動の長年にわたる功績を称えられ、2022年には仏最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章を受賞した。俳優としては、『女はみんな生きている』他でセザール賞助演女優賞に3度ノミネートされ、幅広い分野で活躍する国民的スター。
ブーンとルノーは実生活でも親交が深く、ルノーは「ダニーは私の息子よ」と公言している。本編中のシャルルとマドレーヌと同じく、彼ら2人も貧しい労働者階級出身で、ルノーは「これは私の遺言になる映画よ」と宣言しての本作への出演となった。
監督・脚本は、『戦場のアリア』でセザール賞の作品賞とオリジナル脚本賞、英国アカデミー賞にノミネートされたクリスチャン・カリオン。サプライズとユーモアが詰まった物語に、女性の権利を守るという今日的な問題も織り込んだ。
マドレーヌの波乱に満ちた生涯を伴奏する壮麗な音楽は、フランソワ・オゾン監督作品を数多く手がけ、『危険なプロット』と『婚約者の友人』でセザール賞にノミネートされたフィリップ・ロンビ。撮影監督は、『カフェ・ド・フロール』などパリを舞台にした作品を担当し、世界中の人々の憧れの街の魅力を知り尽くしたピエール・コッテロー。
エッフェル塔、シャンゼリゼ通り、ノートルダム寺院、凱旋門、パルマンティエ大通り、洒落たビストロ――もう一人の主人公であるパリのエレガントな美しさに浸れる映像も見逃せない。人生の悲しみも喜びもパリで見つけたマドレーヌ。今、この地を離れ終活へ向かう彼女は、街角に停まる度、パリへのさよならの代わりに秘密をひとつずつ明かしていく。そして、パリがうんざりする仕事場だったシャルルにとっては、マドレーヌとの時間が新しいパリを再発見する予想外の時間になる。
いつの間にかシャルルの仕事はタクシードライバーから、パリの街角に潜むマダムの数奇な運命を解き明かす旅に変わっていた。そして、この思いがけない出会いが、2人の人生をドラマティックに変える大きな転機になろうとしていた。果たして、そのクライマックスに待つものとは――?
驚きながら、笑って、泣いて!オープニングからラストまで、「まさか」がぎっしり詰まった意外すぎる感動作!
憧れの街パリをタクシーがガンガン走る
ブンブン回るルノーのディーゼルエンジン
パリの名所が これでもかと次から次へ
仏映画らしく 出てくる俳優は全員がトレビアン!!
なんとも幸せな映画です。
久米宏(フリーアナウンサー)
パリの街並み。ジャズ。ビストロ。渋滞。
二人の世界(人生)が車内に広がる。アップで捉えられた二人の表情の機微。必見!
パリに行きたい!
光石研(俳優)
パリに暮らして20年余り経ちますが、今まで観たフランス映画の中で、間違いなく一番心に響いた映画です。
どう死ぬためにどう生きていくか、、。改めて考えさせられました。
雨宮塔子(フリーアナウンサー・エッセイスト)
94歳のリーヌ・ルノーが92歳のマドレーヌを演じている。
91歳の私にとってこの映画はどの場面も我が事のように面白く切実です。
谷川俊太郎(詩人)
人生はクソッタレなんだけど、こういう奇跡の日もあるからやめられないんだ。特にパリっていう、魔法の街では。
猫沢エミ(ミュージシャン、文筆家)
こんなに長く余韻の残る映画を見たのは初めてです。誰しもが抱える、人生の光と影。
言葉では決して言い尽くせない、味わい深い作品でした。
いまだ、じんわりとした余韻に浸っています。
小川糸(作家)
パリの中年運転手の男と乗客の92歳のお婆ちゃん、二人の人生が交差して、美しい街の中を走ってゆく。
人の暮らしには凄いことが起こるもの・・・。
高齢の私も、しっかり生きよう!
林家木久扇(落語家)
パリの景色を見ながらタクシー運転手とのおしゃべりを楽しむ。
波瀾万丈の人生を振り返ると 「すべてが一瞬だった.」
いろいろな感情がわき上がる。
マドレーヌは明るく強い女性ですね。
Vive les femmes!
Dora Tauzin ドラ・トーザン(エッセイスト, 国際ジャーナリスト)
タクシーの車窓に映る、パリの街並みの美しさ!
だが、そこに暮らす人々には思いもよらぬ人生の厳しさが。
ドラマティックに生きた老婦人の乗客がもたらした、
希望のプレゼント!
石川三千花(イラストレーター)
石川三千花(イラストレーター)