台湾の首都・台北市で現在開催中の第44回台北金馬映画祭(11/7~24)は、昨年は北野武監督、役所広司、妻夫木聡ら日本映画界を代表する面々が参加し話題を呼んだ台湾最大の映画祭。台湾を代表するスター、チャン・チェンをエグゼクティブプロデューサーに迎えた日本・台湾の合作『青春18×2 君へと続く道』を手掛けた藤井道人監督にとって台湾は特別な場所。今年3月に台湾で公開された同作は、初日から興行収入第1位を記録、その後もアジア各地で旋風を巻き起こしている。時代性とエモーショナルな作風から台湾でも高い人気を誇る藤井監督。その最新作が台北金馬映画祭で監督の登壇と共にインターナショナルプレミアが実施されるとあって、台北松山空港では多くの熱狂的なファンがボードを掲げて藤井監督の台北訪問を歓迎した。
11月16日に『正体』の上映がおこなわれたMUVIE CINEMASは、『青春18×2 君へと続く道』でも藤井監督の舞台挨拶が実施された台北を代表する映画館。縁のある劇場に詰めかけた観客の大きな拍手と歓声に包まれて登場した藤井監督は、4年前に遡る企画のきっかけ、俳優・横浜流星の魅力、本作に込められたテーマなどを熱く語った。
上映直後の舞台挨拶とあって、場内を埋め尽くしたファンからは質問が続出。なかには「人生に迷っていたが、この映画に救われた」と涙ながらに語る18歳の観客の姿も。その言葉に対して藤井監督は「悩んだりすることは18歳でも、38歳(藤井監督の年齢)でも同じようにあるけれど、いつでもフラットに悩みを相談できる仲間・友達・家族・自分の周りにいる人を大事にすることが、自分の心を軽くすることなんだ、ということを大切に思っています。カッコつけようとすると人生はうまくいかない。悩みを自分のなかに抱え込まずに、仲間を大事にしてください」と優しく語りかけると場内はさらなる大きな拍手に包まれた。上映後のQ&Aを終えた観客からは「これまでも藤井監督の作品を数多く観てきたが、『正体』は監督の‟人を見つめる優しさ“に溢れている」などの感想が寄せられた。日本各地で実施中の試写会でも絶賛と感動の声が相次ぎ、先日発表された第49回報知映画賞ノミネート作品では、5部門6ノミネートを果たした『正体』。いよいよ日本公開まで2週間を切り、どのような反響を巻き起こすか注目が集まる。
【監督/藤井道人】イベント後のコメント
『青春18×2 君へと続く道』の舞台挨拶で訪れた映画館なので、すごく感慨深かったです。
どんな質問がくるかドキドキしていましたが、台湾ならではの、あたたかい雰囲気で、沢山の質問もしてくれて、拍手も大きくてとても嬉しかったです。台湾には(横浜)流星のファンも多いので、いつかまた、流星と一緒に台湾に来ることができたら・・・と思います。