「大名」と聞くとお金持ちなイメージがありますが、実は小四郎のように貧乏な大名も多く存在したそうです。その理由は、暮らしにかかる出費の多さ。まず、家臣の給料を含む藩の運営費に、役職や名誉のために贈答品や返礼品を繰り返すなど、慢性的にお金がかかります。さらに、「天下普請(てんかぶしん)」という幕府からの命令を受けて行う、道路や河川の整備工事の費用もなんと自己負担。そこに、拍車をかけるのが参勤交代。一年おきに江戸と自分の国を往復する交通費や、人件費は莫大な支出に(幕府からすれば、大名の経済力を削いで反抗勢力を絶つ事が参勤交代の目的の一つ)。
そうしてお金が足りなくなった大名は借金をせざるを得なくなりますが、地道に完済する大名もいれば、返しきれずに「お断り」という制度で借金を踏み倒す大名もいました。「お断り」とは、大名がない袖は振れぬと言わんばかりに、一方的に返済不能を宣言すること。藩自体が倒産することは無く、ただただ金を貸していた商人たちに迷惑なものでした。