フランスで開催中のアヌシー国際アニメーション映画祭(開催期間:6/11~17)のコンペティション部門に選出された本作の公式上映が、現地時間6月12日(月)10時より開始。
上映前には渡仏した原恵一監督が舞台挨拶を行ないました。
上映が行われたのは、本映画祭最大のホール「grande salle」。キャパ900名が満席で埋め尽くされた会場に登壇した原監督は「またここに戻って来れて嬉しいです。」とコメント。現代の日本の子どもたちの実情に触れながら観客に向けてスピーチを行ない、「私はメンターではなく、ただの映画監督です。でも、私は映画の力を信じています。映画には人の人生を変える力があります。この映画はフィクションで、ファンタジーですが、多くの事実も含まれています。もちろん、人生は甘いものではなく、公平ではありません。しかし、人生は時に美しく、時に素晴らしいものです。そして時に人生は、私たちに最高の瞬間を与えてくれます。」と語りました。
映画上映中、客席からは涙で鼻をすする音も聞こえ、エンドロール開始から暖かい拍手が贈られました。場内が明るくなり、原監督が拍手に応えると、総立ちの観客からさらに歓声があがりました。
【原恵一監督 舞台挨拶スピーチ全文】
またここに戻って来れて嬉しいです。
今からお話をさせていただきます。
この数字を見てください。
昨年、日本では514人の子供たちが自ら命を絶ちました。
小学生や中学生、高校生の子供たちです。
1980年に統計を開始してから、過去最多の数字となりました。
なぜ彼らはそんな結末を選んでしまったのでしょうか?
学校や日本社会に、絶望したに違いありません。
彼らは途方もない痛みの中、一人きりで逝ってしまったのです。
私たちは、514の未来を失いました。
私たち日本人全員が、その責任を負っています。もちろん、私もです。
私には彼らを止める術が分かりません。
私はメンターではなく、ただの映画監督です。
でも、私は映画の力を信じています。
映画には人の人生を変える力があります。
この映画はフィクションで、ファンタジーですが、多くの事実も含まれています。
もちろん、人生は甘いものではなく、公平ではありません。
しかし、人生は時に美しく、時に素晴らしいものです。
そして時に人生は、私たちに最高の瞬間を与えてくれます。
子供たちへ
君たちはこの馬鹿げた世界で生きています。
でも、どうか恐れないで。君たちは一人じゃない。
君たちの帰りを待っている人がいるのです。
さあ、鏡の向こう側に行こう。