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男はつらいよ 私の寅さん(第12作)

男はつらいよ
1973年12月
スタッフ
原作:山田洋次 脚本:山田洋次/朝間義隆  監督:山田洋次 撮影:高羽哲夫 照明:青木好文 美術:佐藤公信 音楽:山本直純
キャスト
渥美清、前田武彦、岸惠子、津川雅彦、倍賞千恵子、前田吟、三﨑千恵子、松村達雄

いつも寅さんのことを心配しているさくら達が旅に出て、寅さんが留守番するという前半は、お馴染みのパターンを逆転させている。何かにつけて寅さんに反発する画家のりつ子に岸惠子、その兄で、寅さんの無二の親友に前田武彦、さらに恋のライバル出現か? とハラハラさせる、キザな画廊経営者に津川雅彦と、ベテラン陣を配している。果たして寅さんはりつ子のパトロンになれるのか? 終盤に流れるショパンの「別れの曲」が深い印象を残す。

山田監督「演出のことば」

「気に入った絵は売りたくない、ましてや気に入らない絵を売るわけにもいかない」これは本篇に登場する柳りつ子という女流画家が寅さんに語った言葉だが、この言葉はとりも直さず我々が映画を創造する精神でもあると思う。我々は我々の喜びの為にこそ映画を創る。いや、そうでありたいと願っている。自らに忠実にあってこそ初めて観客に対しても忠実であり得るからである。