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男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎(第33作)

男はつらいよ
1984年8月
スタッフ
原作:山田洋次 脚本:山田洋次/朝間義隆 監督:山田洋次 撮影:高羽哲夫 照明:青木好文 美術:出川三男 音楽:山本直純
キャスト
渥美清、倍賞千恵子、中原理恵、渡瀬恒彦、佐藤B作、前田吟、下條正巳、三﨑千恵子

寅さんが渡世人として、同じ渡世人のトニーと渡り合う。これまでのシリーズでは描かれなかった、寅さんが生きる世界が垣間見える。冒頭 盛岡で、かつての舎弟・登(秋野太作)と再会し、渡世人稼業のわびしさを知った寅さんが、風子にだけは幸せになって欲しいと願うが、トニー、風子、寅さんの関係は、いずれも放浪者の孤独をにおわせている。渡瀬恒彦の持つ不良性と、中原理恵演じる風子の危うさを、釧路の夏を象徴する霧笛のイメージが彩る。風子と寅さんと共に、逃げた女房を訪ねる旅をする中年男・福田栄作に佐藤B作。

山田監督「演出のことば」

愛する娘に好きな男ができてしまった。しかも、その男と一緒になれば、あきらかに娘は不幸になるに違いない。そんなことになったら、寅はどんなに苦しむだろうか、どうするだろうか。今まではふみ込んだことのない〝愛″の悲しさ、せつなさを33作で描きたいと思う。