FILMS作品一覧

男はつらいよ 柴又より愛をこめて(第36作)

男はつらいよ
1985年12月
スタッフ
原作:山田洋次 脚本:山田洋次/朝間義隆  監督:山田洋次 撮影:高羽哲夫 照明:青木好文 美術:出川三男  音楽:山本直純
キャスト
渥美清、倍賞千恵子、栗原小巻、美保純、川谷拓三、前田吟、三﨑千恵子、下條正巳

壷井栄原作、木下惠介監督作品『二十四の瞳』(54年)へのオマージュらしく、島の先生と同窓生たちのエピソードを軸に、第4作『新男はつらいよ』以来二度目のマドンナをつとめる栗原小巻と寅さんの物語が綴られる。式根島から柴又に戻ってから、気が抜けてしまった寅さんの“恋やつれ”ぶりも楽しい。個性派・川谷拓三や、下田の寅さんの仲間の渡世人を演じ、これがシリーズ初出演となった笹野高史など、名傍役たちの演技も光る一篇。

山田監督「演出のことば」

久々に、ほんとうに久しぶりに、寅さんは恋をする。それも、ほのかな恋や、しっとりした恋ではなく、炎となって燃えあがるような熱い恋なのである。そんな寅さんを見たい、やっぱり寅さんは恋をしなくては、と願う大勢のファンの声のせいでもある。衣食住は満ち足りていながら、愛のとぼしい寒々とした時代だからこそ、柴又より愛をこめて、貧しい寅さんは楽しい歌をうたい続けるのである。