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©2010「おとうと」製作委員会

おとうと

2010年1月
スタッフ
脚本:山田洋次/平松恵美子 監督:山田洋次 撮影:近森眞史 照明:渡邊孝一 美術:出川三男 音楽:冨田勲
キャスト
吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮

幸田文の同名小説の再映画化。吉永小百合と笑福亭鶴瓶が姉弟に扮し、切っても切れない彼らの深い絆を、姉の娘の視点から描き出す。山田監督は、2010年ベルリン国際映画祭で、特別功労賞“ベルリナーレ・カメラ”を受賞しているが、かつて同賞を受賞した市川昆監督の作品『おとうと』(1960年)に捧げるオマージュ作品でもある。

山田監督「演出のことば」

骨肉の争いという言葉があるが、肉親同士が時として他人以上に憎しみ合ったりするのは、誰にでも思いあたることだろう。映画やテレビの〝ホームドラマ″は家族があのようにありたい、という観客のあこがれを描くのだろう。ぼくには、タイトルもそのものずばりの『家族』という作品があるし、『寅さんシリーズ』四十八作を通して描きたかったのは、寅さんをめぐる家族の絆、その苦しみと悩みと喜びについてだった。さて、寅さんシリーズが、愚かな兄と賢い妹の滑稽譚だったとすれば、今度の『おとうと』は、賢い姉と愚かな弟の、可笑しくて哀しい物語である。一九六〇年に市川崑監督によって製作された名作『おとうと』と、あえて同じタイトルをつけ、この作品を敬愛する市川崑さんに捧げたい。