乾いた花
公開年:1964年/上映時間:96分
著名人のおすすめコメント
- マーク・シリング映画評論家1964年に松竹が公開した篠田正浩監督の「乾いた花」は、ライバルのスタジオにとって、やくざ映画が主力だった時に登場した。刑務所を出所した村木(池部良)は、ギャンブルへの情熱と違法薬物への危険な好奇心を抱く女冴子(加賀まりこ)に魅了される。松竹ニューウェーブを牽引する篠田の物語の表現方法は従来および以降制作されたどのやくざ映画とも異なるものだった。スタイリッシュに白黒で撮影され、武満徹の不協和音の旋律に駆り立てられた本作は、現代的な外観と雰囲気をもっている。急速に近代化していた60年代半ばの東京が描かれる一方、戦後間もない無法な時期の荒々しさも醸し出す。当時このジャンルで流行っていた男性的なロマン主義とは一線を画す。村木は強い男の外見はしているが、脆弱さと恐怖の瞬間を垣間見せる。彼は恋人として彼女を手助けすることで、結果として状況をさらに悪化させてしまう。精神的な空虚さと視覚的な美しさが混在した唯一無二の本作は、フランシス・フォード・コッポラやマーティン・スコセッシに強い影響を与え、ボーダー・レスで独創的である。
一般の方のおすすめコメント
- Comment都会を生きる空虚さや満員電車に揺られる死んだような人々の顔。
1964年、ちょうど東京オリンピック開催年に公開された映画。
オリンピックに高揚していた人々の姿はそこになく、現代の2020年を生きる私たちのような乾いた目線がありました。
この映画を観ると56年前の人々も私たちと同じ孤独を抱えていたと勇気を貰えます。
それはきっと東京オリンピックの再現よりも大きな事です。ノリアキ/20代