著名人のおすすめコメント
- 蔡剣平映画研究者・評論家『切腹』が初めて中国で上映されたのは、日本映画ブームを巻き起こした『君よ憤怒の河を渉れ』よりも1年前(1977年)でした。反戦映画『人間の條件』などで中国でもよく知られている小林正樹監督が、ヒューマニズムを通して描いたこの作品は、まさに武士映画というジャンルを超越した武士映画の最高傑作の一つと言っても過言ではありません。橋本忍の斬新な脚本と監督の素晴らしい演出術で、武士映画でありながら、武士道の虚飾と残酷さを容赦なく暴き出し、従来神格化されていた武士への辛辣な風刺によって、完璧な反武士映画になっていると思います。今でも模倣されている最後の決闘の真剣殺陣は言うまでもなく最高ですが、竹光での切腹シーンにも鳥肌が立つほどでした。
- 木全純治シネマスコーレ 代表取締役松竹の時代劇として、これほど均整のとれ、緊張感みなぎる作品はない。主家が没落し、江戸に流れて浪人生活を送る。彼らのあまりの簡素な姿にあ然とする。父、津雲半四郎に仲代達矢、息子の千々岩求女に石濱朗、妻に岩下志麻が扮する。生活にひっ迫した求女が井伊家で竹光で切腹するシーンは痛痛しい。井伊家でのひょうひょうとした半四郎の立居振舞。老かいな井伊家の家老を演じる三國連太郎と仲代が丁丁発止するシーンは、屈指の名場面となる。権力を持つ者の内実が半四郎に暴露された時、大団円が待っている。脚本に橋本忍、撮影に宮島義勇、音楽に武満徹、美術に戸田重昌ら才気あるれるスタッフが参加し、小林正樹監督が一分のすきのない作品に仕上げた日本映画の傑作。
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レビューも主演の仲代達矢の凄みのある熱演、脚本の橋本忍の練りこまれたストーリーテリング、監督の小林正樹の緊張感ある演出、武家社会の虚構を描いたテーマ性などに対する絶賛コメントばかり。
多くの映画ファンから支持されているこの作品をこの機会にぜひ観ていただきたいです。 - 矢田部吉彦東京国際映画祭
作品選定シニアディレクター極度に端正にして静謐な様式美と、暗く激しい情念が奔流する復讐劇が合わさった『切腹』は、芸術としての時代劇の輝ける金字塔である。橋本忍の見事な脚本を活かした小林正樹監督の最高傑作であり、時代劇に新たなリアリズムを導入することに成功した。
撮影の宮島義男と美術の大角純一と戸田重昌が作り出す映像世界は切腹という残酷な行為に冷徹で荘厳な美しさをもたらし、音楽の武満徹による琵琶
の音色が作品にモダンな個性を加え、仲代達矢は目線ひとつで場を支配し、三国連太郎の懐の深さが作品に奥行きを与える。まさに、日本映画最高峰の布陣が揃った正真正銘の傑作である。
カンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞し、東洋美学の神髄を世界に知らしめた1本という意味においては、日本映画史上もっとも重要な作品の1本であるとも言えるだろう。
一般の方のおすすめコメント
- Commentただひたすらに面白い!佐藤圭太/10代