“映画あの花ブーム”で、公開1カ月以上が経過した現在もロングヒット中の本作。この度、原作者・汐見夏衛先生よるティーチイン舞台挨拶を1月27日(土)に実施いたしました!
本編上映終了後、大きな拍手に包まれた会場内に原作者の汐見夏衛先生が登壇!多くのお客様で埋まった会場を見渡した汐見先生は「今日は寒い中、ありがとうございます!短い時間ですがよろしくお願いします。」と笑顔で挨拶。
興行収入37億円突破、原作本もシリーズ累計117万部を突破する大ヒット中!改めて心境を聞かれ「聞くたびに数字が変わっていて、自分も付いていけていない感じですが…」と驚きつつ「原作者としてもちろん嬉しいのですが、映画に関わった皆さんが映画を盛り上げていたのをずっと見ていたので、その熱意が報われて本当にうれしいな、おめでとうございますという気持ちです。また、映画のおかげで原作を読んでくださる方が多いのも嬉しいですし、読んでくださる方がいることで私も作家活動を続けていけるので、本当にありがとうございます。」と喜びと感謝を伝えた。
愛知県在住の汐見先生。たくさんの地元のお客様を前にして「出身は鹿児島県で就職とともに愛知県に来たんですが、愛知は外から来た人間を温かく迎えてくれる土地。今は第二の故郷としてとても愛着を持っています。書店さんや映画館の方が地元作家ということで盛り上げてくださり、本当にありがたいです。」と感謝を述べた。
その後、観客からの質問コーナーに。「10回以上観た」という男性からは「百合と彰が最後に百合の丘に行き見つめ合うシーンですが、2人に台詞を加えるとしたら、どういう台詞を加えますか?」という質問。
汐見先生は「とても切ないながらも幸せなシーン。百合は『行かないで』って止めたい思いを必死にこらえ、彰が助けてくれた事や、彰からもらって嬉しかった言葉を伝えたんじゃないかな、と。彰は時代背景もあって怒りや悲しみを口には出さないけれど、それらを百合が代弁してくれて、百合に惹かれたし、感謝しているので、きっと彰も『ありがとう』って伝えていると思います。」と答えた。
このシーンは最初の脚本では百合と彰のやり取りがあったが、「水上さんが演じる彰なら何も言わないのでは。」と現場で話し合った、という裏話がMCを務めた宣伝部から明かされた。
続いて、各地の舞台挨拶に参加しているという女性からの「原作のエピローグにある彰の出撃の場面が好きですが、映画では描かれていなかった。映画では描かれてないシーンで、映像化してほしいと思う原作のシーンはありますか?」という質問に。
「そのエピローグは小説サイトに投稿した小説には入っていなかったんですが、書籍を購入してくれる方に向けて彰目線のシーンを加えようと思い、彰だったら出撃のシーンはどうするかと考えて書きました。」と制作話を語り、続けて「映画のプロの方々が1番良い形にしてくださったと思うので、私としては加えて欲しいシーンはないかなと思います。」と答えた。
「なぜ百合と言う名前をつけたのか教えてほしいです」という質問に対しては「名前は書き始める時に1番悩むところ。戦時中でも現代でもおかしくない名前を考え、当時の女の子の名前ランキングを見て、百合という名前にしようと思いました。後から気付いたのですが、私のひいおばあちゃんの名前が“百合”でした。もしかしたらその名前をどこかで聞いて覚えていて、名前を選んだのかもしれないなって思います。」と答え、「花言葉を調べたら、キャラクターのイメージにとても合う言葉だった。百合という名前なら作品の中に百合の花を出して、印象的なシーンとして使おうと思いました。」と作品づくりを振り返り語った。
「福山雅治さんとのインタビューで、教師をしていて戦争に興味のなかった生徒たちに向けて書いた小説だと聞いたのですが、映画になったことで反響はありましたか?」という質問には、
「小説の感想として『今まで聞き流していた戦争の授業を、彰たちのことを思い出しながら聞けるようになった』とか『修学旅行で平和会館に行ったことを思い出した』とか『もうすぐ(平和会館に)行く予定なので、行く前に読んで良かった』というお声をいただくことが多く、この本を読んだことで、戦争に対する感じ方や自分からもっと知ろうと思うような変化があるといいなと思って書きました。」と語り、
「今は海外の戦争のニュースが多い中で、空爆の映像とかを見て『空爆されている市民たちはどんな気持ちだろう、どんな状況だろう』って考えるようになったって声をいただいて、それが1番映画にしていただいてよかったなって。小説よりも映画の方が空爆のシーンとかはリアリティがあり、とても恐ろしく感じると思う。世界に目を向ける時の感じ方が変わったことが映画になってとても良かったと思うところです」と思いを伝えた。
「福山雅治さんとの対談はどうでしたか?」とMCが投げかけると、「緊張しすぎて記憶がほとんど無いんですけど…」と前置きし「特に印象に残っているのは、『エンタメの仕事が出来ているのは平和だからこそで、世界の平和のために何ができるのかって考えたら、自分ができる仕事を全力でやることがそれに繋がっていく』ってお話しされていて、社会や世界の為に活動を続けてらっしゃることが印象的でした。」と振り返った。
「福山さんがすごく良い話をされている時に、咳き込んでしまったんです。もう恐縮すぎて『すみません…』って感じだったんですが、福山さんが『良いのど飴があるからあげましょうか』って言ってくださって、そういった気遣いとかも勉強になりました。素晴らしい時間を映画のお陰でいただきました」と福山さんとのエピソードを披露。
年末の福山雅治さんのライブにも参加し、さらに現在公開中の福山さんのライブフィルムも鑑賞したという汐見先生。
「大きな会場で、すごい数の人たちを見て『この人達が全員、福山雅治さんの歌を聞きに来てるんだ…!』って圧倒されました。1番下の席から1番上の席まで、フロアごとに声をかけていて、時々おもしろいことを言って笑いもとりつつ、『楽しんでもらおう』という気持ちがとても伝わってきた。最後の最後までサービス精神がとてもすごくて、自分が作ったエンターテインメントを楽しんでくれる人に対する思いをとても感じました。自分も執筆している時に、これほどまでに読者さんのことを考えているだろうかって反省もしつつ、少しでも楽しんでもらおうって気持ちを忘れずに活動を続けていきたいなって思いました。」と語りました。
続いて「映画の中で『生まれ変わったら』と来世に思いを託すシーンが出てきたが、もし彰と百合が現世に生まれ変わったら、2人にどんな再会と人生を与えてあげたいですか?」との質問。
「今の時代は、自分がやりたいことをやれる、言いたいことを言える、一緒にいたい人といられるっていう、彰が一番欲しかったものが揃っている世界だと思います。もし生まれ変わったとしたら、自分の気持ちに正直に生きて欲しいなって思います。彰はきっと現代にいても周りに気を使って、いろいろ我慢しちゃう性格だと思う。だけど百合は言いたい事を言って、自分の気持ちを大事にする人なので、彰が周りのことを考えすぎ我慢してる時に、百合にはぜひ『そんなの気にしなくていいよ!好きなことやればいいよ!』って励ましてあげてほしい。とにかく二人がずっといっしょにいられる未来があったらいいなって思います。」と答えた。
最後に集まった観客に向けて「こんなにたくさんの方に読んでもらえると思わずに書いていました。映画が決まった段階でも読者の方に喜んでもらえるかな、見た方に何か感じてもらえるような映画になるかなと分からない中で、ずっとやってきました。ここまで大きな作品になったことは、読んでくれた方、見てくれた方、一人ひとりのお力のおかげなので、みなさんのおかげで私はこういうところに連れてきていただけたって思っています。本当にありがとうございます。今後もよろしくお願いします。」感謝の挨拶でイベントを締めくくった。