映画『こんにちは、母さん』初日舞台挨拶が9月1日(金)に実施され、多くの観客に迎えられる中、吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、宮藤官九郎、田中泯、YOU、枝元萌、山田洋次監督が登壇。それぞれ一言ずつ挨拶し、舞台挨拶がスタートしました。
吉永(神崎福江 / かんざき・ふくえ役):まだまだ熱い日々が続く中、大変な想いで過ごされている方もいらっしゃると思いますが、そんな中足を運んでくださり感謝しています。本当にありがとうございます!
大泉(神崎昭夫 / かんざき・あきお役):温かい拍手で迎えていただいて、なんとも言えない幸せな気持ちになりました。この映画が今日をもって皆様のもとに届けられることができて幸せです。
永野(神崎舞 / かんざき・まい役):私は吉永さんの孫、大泉さんの娘役を演じさせていただき、とても幸せな時間を過ごすことができました。本日は最後まで楽しんでください。
宮藤(木部富幸 / きべ・とみゆき役):木部という面倒な男を演じさせていただきましたが、僕自身はそこまで面倒な人間ではありませんので(笑)これからもよろしくお願いいたします。公開初日おめでとうございます!
田中(イノさん役):なんだかイノさんに戻っちゃいそうでドキドキしていますが、本日はよろしくお願いいたします。
YOU(琴子・アンデション / ことこ・アンデション役):今日は暑い中にも関わらずお越しくださりありがとうございます。とても素敵な方々と共演できて本当に嬉しかったです。たくさんの方に観ていただけたら嬉しいです。
枝元(番場百惠 / ばんば・ももえ役):小さい頃から観ていた山田監督の映画に出演させていただけるとは夢にも思いませんでした。初日は頭が真っ白になってしまいましたが、監督の情熱、チームワークを体感していくうちに、素敵な作品に携わらせていただいているなと実感しました。ぜひ本作を楽しんでいただけたらと思います。
山田監督:お忙しい合間を縫って、キャストのみなさんが揃ってくださったこと、監督としてとても嬉しいです。監督冥利に尽きますし、素敵な初日を迎えられたなと思っています。みなさんどうもありがとうございます。
ついに公開初日を迎えた本作。吉永にとっては123本目の映画出演作となったが、吉永は今の心境を問われると「素晴らしい監督とスタッフ、そしてキャストの皆さんに引っ張っていただきながらここまで来れたかと思います。実は123本目ということで、この辺りで辞めようかなと思ったこともありましたが、“123”と外に飛び出していくような数字なので、もう少しやってみようかなと思っています」と告白。次回作出演の意欲を見せた吉永に、会場からは大きな拍手が沸き起こっていた。
そんな吉永演じる母・福江の息子・昭夫を演じたのは、今回が初共演となる大泉洋。大泉は出演情報解禁の際に“吉永小百合から大泉洋は生まれない”というコメントを寄せたことでも話題を集めていたが、「本当に今や母親としか思えないですよね。今は“吉永小百合からは大泉洋しか生まれない”と思っています。どんな映画でも(吉永の)息子役は私なんだという気持ちですね。もし息子がいないような映画でも、裏設定では大泉洋が息子であって欲しいくらい。違う役者がやるとなったら決闘ですよね」と声を大にしアピール。
“親子役続投”を猛アプローチする大泉との再共演について話が振られると、吉永は「よく考えてみます(笑)」と茶目っ気たっぷりに答え、二人の息ぴったりな掛け合いが場内の笑いを誘っていた。
さらに大泉は吉永について、「やっぱり大女優の凄みと言いますか、もちろん山田監督が作ってくださる雰囲気もありますが、セットでお会いした瞬間、吉永さんを母さんと思うんですよね」としみじみと撮影を振り返り、“母”吉永への厚い信頼をうかがわせる場面も。対する吉永も、「(大泉演じる)昭夫が不貞腐れてソファーで寝ちゃう場面で、私がお尻を叩くシーンがあるんです。そのお尻がムチムチしていて可愛らしいなと」と“息子”大泉への愛情を滲ませ、相思相愛ぶりを垣間見せていた。
本作は、第25回上海国際映画祭をはじめ、大阪や福岡など日本各地でも舞台挨拶を実施。各地の舞台挨拶に精力的に登壇してきた監督は、「観客がどう感じてくれたのか、納得してくれたのか、否定的なのか。作り手としては今でもそれを知るのが怖いんですよね」と率直な想いを吐露。「感想はあまり怖くて聞けないところもありますが、満員の観客がいて笑ってくれている姿を見れた時は安心します。(これまで映画を撮り続けてきて)今でもそんな感じで不安を抱えているので、今日はとっても怖い日です。試験の発表を聞く大学生のような、判決を聞く被告のような気持ちでいます」とついに初日を迎えた今の心境を告白していた。
さらに、福江と昭夫の親子が新たな一歩を踏み出していくさまを描いた物語にかけ、キャスト陣が“新たに挑戦したいこと、やりたいこと”に関する質問が。
吉永は「スポーツが好きなので、太極拳を習って映画の中でやってみたいです。監督が空手の方がいいんじゃないかと言われたんですが、とてもできないんじゃないかと思って...」と“意外な野望”を告白。続いて「なかなか新しいことを始められない人間ではあるのですが...」と前置きする大泉は、「久しぶりに乗馬の練習に行ったんです。久しぶりに娘と行ったんですが、お尻が腫れるんですよね。お風呂上がりにどうなってるか娘に見てもらおうとお願いしたら、“ママに見てもらえ”と言われ...。乗馬の練習をしたいという話でした」と笑いを交えながら披露した。
さらに他キャストが明かした「新たに挑戦したいこと」は次の通り。
「家庭菜園です!ルッコラを育てたいです」(永野)
「貫禄がないと言われることが多いので、貫禄をつけることに挑戦したいですね」(宮藤)
「一度きりの人生を生きているので、毎日が“新しい”と思うようにして生きています」(田中)
「スカイダイビングがしたいです」(YOU)
「ボードゲームが大好きなので、たくさんの人に楽しんでもらえるようなボードゲームを作りたいです」(枝元)
「この年になると、どのような理由や経緯があって今の世の中、世界になっているのかが気になる。世界中で起こっている様々なことについて考えたり、学んでみたい」(監督)
イベントの終盤では、大泉から吉永へ感謝の気持ちを込めた花束贈呈のサプライズも。
123本目の映画出演にちなみ、大泉から吉永へ123輪の赤いカーネーションが贈られると、大泉は「撮影からずっとご一緒させていただいて幸せでしたが、今日でとりあえずの一区切りということで今は寂しい想いでいっぱいです。どの作品でも息子役はやっぱりおかしいかなとも思いますので、家にやってくる配達員ですとか、そんな役でも構いませんので...(笑)また一緒にお仕事させてもらえたら嬉しいです。お母さんありがとうございました」と笑いを交えながら吉永へ感謝の思いを述べた。
大泉の言葉に感激した様子を見せながら、吉永も「本当にありがとうございました!撮影中たくさん楽しい会話をさせていただいて、本当に感謝しています」と応え、笑顔で花束を受け取っていた。
その後マスコミ向けのフォトセッションが行われ、キャストから代表して監督から一般客へメッセージが。「撮影が始まる前、購入システムの変化もあり、年配の方が映画館で映画を観るのが難しくなってきているという話をしていました。そういう方達にこそ、映画館で観ていただきたい作品ですし、笑ったり涙を流したりできる映画というものの楽しさが伝われば嬉しいです。今日はみなさんありがとうございました」と監督の熱い想いが伝わる言葉に会場全体が盛大な拍手で包まれる中、イベントは幕を閉じた。