著名人のおすすめコメント
- 下村麻美シネマトゥデイ編集長もう30年以上前に観た映画だが、今もまったく色あせないまま心の中で宝石のように輝き続けている大林宣彦監督の『異人たちとの夏』。この世にいないはずの両親と出会うという怪奇映画のようなプロットだが、郷愁にかられメランコリックな感情が強烈に押し寄せてくる。それは大林マジックともいえる映像のなせる不思議なパワー。
アパートの茶の間に置かれたちゃぶ台を囲む家族との温かい時間。夏の日、開け放った玄関のドアから風にゆれて少しだけ見えるレースのカーテン。夕暮れ時に外から聞こえてくるひぐらしの鳴き声。
昭和に幼少期を送った人間であればおそらく共通する原風景が、詩の一編を切り取ったかのように美しく映像化されている。大林監督は惜しくも今年逝去され新しい映画が作られることはないが、これまでの作品は誰もが心にしまっている原風景を鮮やかに映像化する作品ばかりでこの先何年経っても色あせることはないだろう。 - 下田桃子MOVIE WALKER PRESS
編集長幼い時分に死別したはずの両親との“ひと夏の交流“を描いた、大林宣彦監督の傑作。4月に逝去された大林監督だけでなく、2020年は多くの映画人を喪った年でしたが、映画を通して大切な人の死と向き合える、温かな作品です。
ランニング姿にちゃぶ台、浅草の路地裏…そんなノスタルジックな映画としておくにはもったいない。「なによりも若い人のために映画を作っている」「映画で未来を変えることはできる」と繰り返し語った大林監督のメッセージを、いまこそ受け取ってほしいです。
涙なくしては見られない「今半」でのすき焼きシーンが有名ですが、手作りアイスクリームもなんとも美味しそう。画面越しに、むせ返るような夏の暑さも感じてください。妖しき女性・ケイとのファンタジックなパートでは、大林監督の“映像の魔術師“ぶりも楽しめます。
一般の方のおすすめコメント
- Comment亡くなった両親との、追憶の生活に共感しました。なまず/60代
- Comment"まずは、脚本が素晴らしい。時代設定、時代背景が、昭和の良き時代において、誰もが貧しくても幸せを夢見ることができた時代。家庭の中で親子のコミニケーションが取れて、父親、母親の役割が明確で、今では失われてしまった本来の日本人が持つ感性を蘇らせてくれる素晴らしい映画だと思います。単なるノスタルジーだけではない、日本人の美意識
や本質を感じさせる映画だと思います。また、俳優達の自然な
演技を引き出す大林監督以下、
スタッフ全員の意気込みや情熱が感じられる映画だと思います。
"中西稔/60代