著名人のおすすめコメント
- 沖田修一映画監督この映画の和久井映見さんが、とてもすきで、永瀬正敏さんとの倉庫のシーンは、いつみても何度観ても面白いです。ラストシーンもじんときます。父が東京にきてからのシーケンスが感動します。そして、田中邦衛さんの怒りっぷりが、ゲラゲラ笑えて、もはや、それ観たさで、何度も繰り返し観たくなる作品です。
- 山崎貴映画監督特に大事件があるわけでも派手な見せ場があるわけでもない、訥々とした語り口のさりげない小さな作品ですが、そこに描かれているごく普通の人々の暮らしや反発や交流やそんなささいな出来事の一つ一つにこんなにも観客の心を動かす力があるんだと驚いた覚えがあります。末っ子が自分の気持ちや世間の目を乗り越えるときに何度もつぶやく「良いではないか」という言葉は、自分自身の人生の様々なタイミングで力を与えてもらったきがします。
映画の中でとまどいながらも確固とした関係を築いていく末っ子カップルには画面のこちら側から精一杯応援していました。
作劇上の人物だと知りながらも、なんとか幸せをつかんで欲しいと心から願ってしまうというところにこの映画の力強さが隠されているのだと思います。 - 高崎卓馬(株)電通 エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター男はつらいよと並行しながら生み出されていった山田洋次作品を並べると、
そのすさまじい偉業に呆然とする。なかでも僕が心をなんども揺さぶられたのはこの「息子」だ。こんなに愛おしい人たちが生きている映画があるだろうか。誰もが苦しみながら懸命に日々を生きている。かみわない言葉もすれ違う気持ちも
それが生きるということなのだ。この映画はなんどもなんどもそれを教えてくれる。三國連太郎の背中。孤独と郷愁。この映画を見るたびに父を思い出し、息子を思う。祖父を思い、その息子である父を思う。僕たちはこうして生きてきたひとたちのつづきを生きている。ラストシーンは何度見ても泣いちゃう。このあいだまで息子の立場で観てたのに最近父親の立場で観てる自分がいる。松竹映画とは家族を描くものと教えられた、と山田監督がおっしゃっていたが、その究極じゃないかな。小津安二郎の東京物語と山田洋次の息子。このふたつが僕のなかで「松竹の映画」です。あ、もちろん「男はつらいよ知床慕情」とかはのぞいてます。 - 竹内守(株)京都映画センター
代表取締役この映画の一番印象に残っていることは、何といっても聴覚障碍者とのコミュニケーションの道具としてファックスが登場したことです。今は当たり前のように思うかもしれませんが、この映画が公開されたころから一般に普及し始めたファックスが、このように使われていることに新鮮な驚きを覚えたものでした。長瀬さんの哲夫が、いつも愚痴っている運送業者のタキさん(田中邦衛)を見舞って、あれこれ話している中で彼女のことを言われますが「いいではないかっ」の言葉を言い切るところも大好きで男意気を感じます。ファックスを買って岩手に帰った父親に、多分気の利く征子(和久井映見)さんから何かと送られてくる文面を見て、寂しさもまぎれるおやじの姿を想像したりしていると、ラストシーンもまんざら孤独でもないぞと思うのです。
一般の方のおすすめコメント
- Comment公開時の社会環境から地方在住の親の認識と子の世代が住む東京の実態にリアルな台詞にまさに だわ だわ。 脚本と和久井映見の清純度合いが松竹らしいぞ。杉村冬子/60代