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11/21(金)実施 『TOKYOタクシー』公開初日舞台挨拶レポート

11/21(金)、主演の倍賞千恵子、木村拓哉、蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、神野三鈴、山田洋次監督が登壇する初日舞台挨拶を開催
イベントでは、公開初日を迎えた感想や、貴重な撮影エピソードが語られたほか、公開の門出を祝い、キャスト陣が本作のイメージカラー・ピンクのテープカットで出発式を行い、会場は歓喜の渦に包まれた。

いよいよ公開を迎え、作品を鑑賞した直後の観客の前に登場した主演の倍賞は「皆さんが観た後にすぐに壇上に立つのは本当にドキドキしています。朝早くお家を出た時に富士山がよく見えたんです。富士山は凄いな、日本一だなと思っていたんですが、この映画はそんな富士山を超えるような素晴らしい映画になったと自負しています。皆さんはどうですか?」と観客に尋ねると、客席からは割れんばかりの拍手が贈られた。

木村も「この作品を受け取ってくれてありがとうございます。本日をもって、この『TOKYOタクシー』が客席にいる皆さんのものになります。今日はその瞬間を見届けにきました」と、ここから多くの人に作品が届くことに期待の想いを明かした。

これまで『男はつらいよ』シリーズなど数々の名作を手掛け、本作で91本目の監督作となる山田監督は「去年の秋ごろに、この作品の準備を始めました。そして1年経ってようやく封切りを迎えることができました。ここにいる大勢の俳優さんやスタッフのみんなが僕を気遣ってくれて、そういう思いの丈の結晶がこの作品だと思います。この映画にいい部分があるとすれば、それは皆さんの想いが伝わったということだと思います」と語り、共に作品を作りあげた山田組に感謝の想いを伝えた。

撮影で印象に残ったエピソードについて振られると、倍賞は「沢山あって、どれを言ったらいいか分からない。私の撮影初日は柴又のロケで始まったんです。『男はつらいよ』シリーズは柴又で終着駅を迎え、『TOKYOタクシー』が柴又で始まる。終わりと始まりが柴又にあったというのは、私が生涯忘れられない思い出かと思います」と感慨深そうに語った。
木村は「山田監督が撮影が終わった後に、僕らに『それぞれの作品に携わった人たちの想いが、作品の艶になっているんだ。この作品が艶に恵まれたことに感謝している。ありがとう』と言ってくださった時に、いい現場に参加できたんだと思ったのをすごく覚えています」と振り返った。

若き日の主人公すみれを演じる蒼井は「迫田さんとの緊張するシーンが多かったんですけど、迫田さんが本当に面白くて。重たいシーンのはずなのに、毎日現場に行くのが楽しみでした。すごく覚えているのは迫田さんが監督に『ここはもっと情けない男でやってほしいんだよ』という演出を受けた後に、私に向かって『こういうの得意!』とかおっしゃっていたんです。でも。いざやってみると監督に『違う違う!』ってすぐにダメ出しされていました(笑)。本当に天然で笑わせてくれる方で、楽しかったです。」と告白。

蒼井演じるすみれの夫で、結婚後に態度が豹変していく小川毅役の迫田は「今日は落ちていった好感度を拾い集めにまいりました(笑)。今一番記憶に残っているのは、蒼井さんの笑顔ですね。あれだけ暗いシーンでも、二人で作っていっていると感じることができました」と明かした。

木村演じる浩二の妻・宇佐美薫役の優香は「私は家族のシーンですね。やっぱり家族なので木村さん含めてずっと3人でいたので、控室でグミとか食べていました。木村さん演じる夫と喧嘩するシーンのときには、監督に『優香さんも家族とは喧嘩するの?家族は大切にね!旦那さんは大切にね!』と言われたのが、すごく心に沁みました。」と語った。
そんな家族のシーンについて、木村は「『TOKYOタクシー』の作品自体のクランクインは宇佐美家からだったんです。『武士の一分』の時からそうなんですけど、山田作品は台本の1ページ目から順撮りで撮影するんです。なんでもない家族のリアルな温度感を監督に調整いただいて、あの空間でその温度を探っていました。」と語った。

浩二の娘・奈菜役の中島は、「私が撮影中に気持ちが落ちてしまった瞬間もあったんですけど、木村さんと優香さんお二人とも素敵な表情で話しかけてくれて、本当のお父さんやお母さんのような存在でした。」と、先輩俳優の存在感を明かした。

若き日のすみれの母で、女手一つで娘を育てる高野信子役の神野は「衣装合わせの時も、現場に入った時も監督のエネルギーと熱量が凄かったです。控室でも細かく役について説明して下さって、私にとっては一言一言が豊かで、役について深く考えられる時間でした。エキストラの方も自分の役柄のバックグラウンドを作られていて、それがあまりにも豊かでした!『これが山田組か!』と背筋が伸びる想いでした。」と、憧れの山田組の凄さを改めて実感したことを明かした。

“奇跡の出会い”を描いた本作にちなみ、忘れない出会いを聞かれたキャスト陣。
倍賞は「私は84歳で、これまでに178本の映画に出演してきました。そのうち70本が山田監督の作品なんです。その1本目が『下町の太陽』という作品です。その時にスタジオにいる山田監督に挨拶に行ったんです。その時に出会った監督が、俳優さんに演出指導をしていて、挨拶すると被っていたハンチングが落ちるくらい深くお辞儀してくれて、すぐに演出に移ったんです。その時に『集中しているときに挨拶に行ってしまったな』という後悔と山田監督のハンチングが思い出に残っていて、その時の出会いが、今の私を形作っていると思います。」と語った。

そんな倍賞との出会いについて山田監督は「スタジオでお会いした時の事は覚えていないけど、あの頃の倍賞千恵子さんは、輝ける全く新しいスターだったんです。当時の若い監督にとっては憧れの人だったんです。映画を撮るならあの人を主役にしたいと誰もが思っていました。その時から変わらず倍賞さんは僕の憧れの人です」と、揺るがない信頼を打ち明けた。

木村は「いっぱいあるので、選ぶのが難しいです。今後も忘れることのできないのは、この作品自体なのかと思います。いつも作品を観終わった後に、観客の皆さんにお会いするんですけど、その時の温かい目を向けて下さり、その目は忘れられないですね。きっとまたこういう想いをしたくて、違う作品の現場に赴くんだろうなと思います」と語った。

蒼井は「私は山田洋次監督です。最初は『学校』という作品のオーディションを受けて、落ちてしまったんですね。ずっと山田作品に憧れをもっていたんですけど、私はこの世界が向いていないと思って、1年くらい休んでいたんです。その後に『やっぱりお芝居が好きかもしれない』と思ったときに、山田監督から『おとうと』という作品のオファーをいただいて、『人生に一回は山田監督の作品出てみたい』と思ったので、この世界に監督に連れて行ってもらいました。今回は『TOKYOタクシー』というタイトルですけど、あと46道府県残っているので、『大阪タクシー』もできる、『新潟タクシー』もできる、『北海道タクシー』もできると思うので、このチームでやりたいです!」と野望を明かすと、木村は「なら、やろう!」と力強く答えた。

多くの登壇者から、“貴重な出会い”として挙げられた山田監督は「いい役者に巡り合えるかどうかで、監督の運命は決まるようなものです。俳優の良し悪しは、男であれ女であれ、老人であれ、若者であれ、人間そのものの出来で決まってしまいます。魅力的な人でなくてはいけないんです。そういう意味では、僕はこの作品でこの上ない素敵な役者さんに恵まれたと思います」と想いを明かした。

撮影中の多くの時間を車中で共に過ごし、本作のプロモーションでも数々の地を巡ってきた倍賞と木村。
お互いの魅力を尋ねられた二人は、発表の順番を譲り合い、仲良くじゃんけんで順番決めをした。じゃんけんで敗れ、先に発表することになった倍賞は「木村さんが本当にまじめな方で、心を投げかけても受け止めてくれる人なんです。気楽に撮影できて、本当に幸せでした。撮影には車内のバックミラーに、お兄ちゃん(渥美清さん)より大きな木村さんの目が映るんです。その目に力づけられて、毎日楽しくお芝居ができました」と語った。
木村も「本当にフラットな方ですし、経験値とかは比べ物にならないほどのものをお持ちです。いつも最後には感情が、笑顔で終わってくださる方なので、倍賞さんの包み込んでくれるような笑顔と心地のいい魔法をかけてもらえるような気がしていました」と、長年映画界を牽引し続ける大女優 倍賞の唯一無二の魅力を打ち明けると、2人はハイタッチを交わした!劇中のすみれと浩二を思わせる程、仲睦まじい様子を目撃した観客からは、拍手と歓声があがった。

イベントの最後には、本作が全国へと走り出すことを祝し、作品のイメージカラーであるピンクのテープカットを登壇者一同で実施。
「TOKYOタクシー、出発!」の掛け声と共に、本作のスタートを盛大に祝った。

木村は、いよいよ公開となった本作について「今日は嬉しくて、温かい初日舞台挨拶をさせていただけたことを、本当に感謝しております。何度か乗りたくなるタクシーになっていたら嬉しいなと思います。今日は本当にありがとうございました!」と語り、倍賞も「劇場を出て、誰かと目が合ったらハイタッチするのも楽しいかなと思います。今日は本当にありがとうございました!」と語った。
そして最後には、山田監督が「僕を含め、キャスト・スタッフが今日という日をドキドキして迎えました。これからもこの映画を末永く愛してやってください。」と、本作が多くの人に届くことを願い、初日舞台挨拶は幕を閉じた。

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