1985年から2005年にかけて開催され、世界のファンタスティックなジャンル映画を数多く上映していた伝説の映画祭「東京国際ファンタスティック映画祭(通称:東京ファンタ)」と映画『八つ墓村』がコラボレーションを果たし、いよいよ今週末に公開を控えた9月14日に先行有料上映イベントを実施いたしました。上映後にはトークショーが行われ、東京ファンタからは作家・クリエーターのいとうせいこう、映画・音楽パーソナリティの奥浜レイラ、映画祭の元プログラミングディレクター大場しょう太が、映画からはメガホンをとった清水崇監督と、横溝正史の二女である野本瑠美がスペシャルゲストとして登場し、熱いトークを繰り広げました。

今回のイベントは、東京ファンタ再始動のキックオフ上映イベントとして開催されたこともあり、ジャンル映画を愛する熱を持った観客たちが集結。今週9月18日より公開を迎える映画『八つ墓村』を一足先に鑑賞し、熱気冷めやらぬ観客を前に、まずは作家・クリエーターのいとうせいこう、映画・音楽パーソナリティの奥浜レイラ、映画祭の元プログラミングディレクター大場しょう太が登場。

続いて登壇した清水崇監督に溢れんばかりの拍手が沸き起こる。清水監督は「皆さん今日ここにお越しくださりありがとうございます」と嬉しそうに感謝を述べた。さっそくいとうせいこう、大場しょう太の二人から映画に関する質問が飛ぶ。いとうから「このビッグネームを担ごうと思った決意がすごい!どんな経緯で監督をすることになったんですか?」と聞かれると、清水監督は「松竹で企画を温めていたそうで、ある日お話をいただいたんです。もちろん即答できませんでしたが、準備稿の脚本があると聞いたので、まずは読ませてと言いました」と回答。「脚本を読みながら、過去の映像作品を見返し、原作も読み返し、『これは誰が監督しようがなにかしら批判を受ける作品になる。誰かが覚悟を決めないと』と思うようになっていったんです。さらに舞台を現代に置き換えて、こんなテーマだったらやっていけるかな、というアイディアは浮かんだので、『やります』と返事をしました」と監督を引き受けた経緯を明かした。
大場から「野村芳太郎監督や、市川崑監督が手掛けてきた過去の映画版へのリスペクトを感じられた」と称賛されると清水監督は「僕も、野村芳太郎版で『八つ墓村』を知った一人ですから。映画を観た後に原作を読んだときに、全然違うストーリーで驚きました。なので今回自分も、この映画をとおして『八つ墓村』という物語を若い人たちが知ってくれたらいいなという想いで作りました」と抱負を口にする。さらに「作品の中で描かれる歴史的な事象は実は文献が残っていたりする事実なので、金田一や辰弥、そしてお客さんも含めて現代を生きる人たちが『我々の先祖は過去にこんなことをしてきたのか』という心情になるように持っていきたかった。その重要なヒントとなるのが、今回の映画のオリジナル要素の仮面の神楽なんですが、過去の歴史と現代のSNS社会を繋げて、時代を反映した映画にしたかったんです」と映画に込めたメッセージを語った。

そして本日のスペシャルゲストとして、横溝正史の二女である野本瑠美さんが登場。映画が完成した際の初号試写で、野本さんは清水監督の手を固く握り15分ほど離さなかったというほど映画を気に入った野本さん。「作風から、父は古めかしい人間だというイメージをお持ちの方が多いと思いますが、彼は小指にオパールの指輪をはめて、ヨーヨーをしながら銀座の通りを闊歩するようなモダンボーイでした。銀座の女性たちの中の人気ランキングで3番手だったという話もあるほどなんですよ」と、横溝の以外な素顔を明かすと、会場からも「えーー!」と驚きの声があがり、いとうは「めちゃくちゃ面白い!」と興奮。続けて「それくらい先鋭的な方だったんです。だから清水監督が意を決して挑戦したこの『八つ墓村』のことを『君、よくやったね』と言っていると思います」と称賛の言葉を贈った。
さらに「父は、自分の小説を映画化する人にはいつも『僕の言いたいことをしっかり捉えてくれていれば、どんな表現をしてもいい、君の作品だからね』と言っていました。だから清水監督のこの作品を高く評価していることでしょう。世の中の恐ろしさは昔とは違っている思いますが、今はもっと恐ろしいことになっています。父は、僕の言いたいことを現代に活かしてくれてありがとうと言っていると思います。それを伝えたくて今日ここに参りました」と述べると、自然と拍手が起こった。
加えて「父は毎回新しい小説を発表するたびに、『どうだ、面白いだろう!』という意気込みで読者に挑んでいました。この映画をみて清水監督からも同じ覇気を感じました。『どうだ!怖いだろう!面白いだろう!』という熱が伝わってきますね。怖くて面白くてね、“コワおもしろ”とでもいうんでしょうか」とぽつり。瞬時にいとうが「“こわおも”!すごい、最高のコピーが誕生しちゃいましたね。“ちいかわ”の次は“こわおも”でいいじゃないですか!」と宣伝文句を作り出し、清水監督も「明日から使っていきましょう。ポスターにもいれましょうよ」とノリノリだった。
イベントの最後には、野本さんから清水監督へ感謝と激励の花束が贈られた。全員が揃った写真撮影時にも「みんな、こんなすごいことないよ!明日自慢できるよ!」と、いとうと大場が盛り上げながら、ジャンル映画の歴史に新たなページを刻む瞬間を観客と共に熱く見届けた。