松竹は、100年に渡り約5,000タイトルの
映画を配給または製作し、映画史に輝く名作から、
コメディ、アクション、カルト作品まで、
さまざまな作品をお届けしてきました。

そんな中から、
“今、観たい映画”を
テーマに選んだ100

をご紹介。
初めて出会う映画から、
今また見返したい作品まで、
新たな感動に出会える作品がきっとあるはず。

松竹社員による渾身のレコメンド文から探すもよし、
気になる#タグを直感で選ぶもよし!
とっておきの1本を、
みつけてください!

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私の好きな松竹映画
大高宏雄
Profile
大高宏雄
映画ジャーナリスト、
文化通信社・特別編集委員
1954年、浜松市生まれ。1992年から始まる日本映画プロフェッショナル大賞主宰。主な著書に、「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」「仁義なき映画列伝」「興行価値―商品としての映画論」など。
  • 公開年:1948年/上映時間:67分/監督:木下惠介

    Comment
    「意外な作品と思われるかもしれないが、とんでもない。女性を描いて群を抜く面白さ、完成度を誇る。水戸光子と小沢栄太郎扮する男女2人の道行きの話である。といって、2人は相思相愛ではない。小沢扮するダメ男から、踊り子役の水戸がいかに逃げ出すか。これが、緊張感あふれる激烈なサスペンス劇になっていて、血沸き肉躍る。少々、うがった見方をする。戦後3年の1948年の製作であることが重要だ。戦争を出しに使う犯罪者の小沢は、まさに軍国主義下の日本の化身ではないのか。実直で生活感がある水戸は、偽りの優しさを見せる小沢にときに取り込まれそうになりながらも、ついにその本性を見極める。軍国主義のシンボル的な人間を、庶民の一人である「女」が決然と切れ捨てる。ここにこそ、木下監督の深い思いがあったのではないか。アップを主体にした斬新な撮影テクニック含め、真の松竹〝ヌーベルバーグ〟は、キノシタから始まっていた気もしたのである。」