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脚本家が明かす、“令和版”『八つ墓村』の制作秘話 映画業界を志す学生へ特別講義を実施!

9月に公開を控えた7月23日(木)、日本大学芸術学部に同校の卒業生であり、本作の脚本を手掛けた尾ヶ井慎太郎氏映画評論家の樋口尚文氏が登壇し、特別講義を実施いたしました。

現在、非常勤講師として日本大学芸術学部映画学科で教鞭をとっている尾ヶ井慎太郎と、映画評論家であり映画監督の樋口尚文の二人。いつもの授業とは異なる形で、特別講義として映画を学ぶ約150名の現役学生たちに向けて新作『八つ墓村』の魅力と制作裏側を語った。

本作の企画の始まりは2023年。脚本を手掛けた『わが友』で、若手脚本家の登竜門である城戸賞を受賞した尾ヶ井のもとに、松竹のプロデューサーから連絡が入ったという。「最初はプロットの制作依頼から始まり、プロデューサー陣と打ち合わせを重ねるうちに、脚本もお任せいただけることになりました。しばらくして、清水監督がメガホンをとられることが決まりました。二人きりで丸一日打ち合わせをする機会をいただき、完成していた脚本に、清水監督ならではの新しいアイディアを加え、今の形に仕上げていきました」と完成までの道のりを語った。

特別講義に参加した「八つ墓村」の原作や映像作品に触れる機会がなかったという20代の学生たちを前に、映画評論家の樋口は「映画を勉強している皆さんには特に『八つ墓村』という作品は面白い教材だと思います。横溝正史の探偵小説が原作で、これまで様々な監督が映像化してきたけれど、映画化作品にはそれぞれ全く異なるアプローチがある。同じ原作でもすべて異なる味わいがあるのが本作の興味深いところ。1977年に公開され大ヒットとなった野村芳太郎版は、実際に屋敷を燃やしたり、3年ぐらいかけて日本中の鍾乳洞で撮影したり、ド派手な撮影を敢行した華やかさが売りだっのに対して、市川崑版はもう少しスリムでわびさびを強調した感じで、作品によって雰囲気が全く異なります。映画ファンとしては、どうしても77年版の野村版と比較しがちだけれど、本作は本来の横溝作品のサイズに合わせて練られた脚本に、清水崇監督ならではのフレーバーが追加され、まさに新解釈を用いて“現代に描くこと”の意義がある完全新作になっている。今、この時代に映画化するならば、まさにこの形だったのではないかと思う」と解説した。

さらに、劇中に登場する名家・田治見家として登場する広兼邸を実際に訪れたことのある樋口は、「田治見家の撮影が行われたのは、過去の映画化作品もすべて同じ岡山県高梁市の広兼邸というお屋敷です。銅山で一儲けした一族が本当に住んでいた民家なのですが、今回の『八つ墓村』が一番あの邸宅をうまく使っています。と言うのも、昔は大きなフィルムカメラで撮影していたので、入り口だけ広兼邸を使用してその中はセットということもありました。しかし、時代が変わりカメラが小型化して小回りがきくようになり、さらに今回はドローンも使っているので、あの広兼邸の魅力を余すことなく堪能できます」と、今ならではの贅沢なロケーションの魅力も語った。

令和の時代に『八つ墓村』を映画化することについて尾ヶ井は、「現代的にアレンジするのが本作で一番難しいポイントだった」と打ち明けた。「最初は、時代を感じられるようにスマホやタブレットを登場させるなどして試行錯誤していましたが、八つ墓村に文明が登場すると“らしさ”が壊れてしまうんです。何度も議論を重ねて、結果スマホの登場は最低限として、それでもあまり違和感がないのは“閉鎖的な村”というミステリーの設定自体が大きな役割を果たしているんだと思う」と述べ、スマホ世代の生徒たちも納得の表情だった。

一番こだわった点について聞かれると尾ヶ井は「もちろん主人公は金田一耕助で、映画のジャンルはミステリーなのですが、辰弥の成長に焦点を当てることを大事にしました。個人的に本作のテーマは“愛”だと考えていて、幼いころに親と離れ愛を知らない辰弥が八つ墓村で自分の出自に関する事件と向き合い、人間として成長していく姿を描きたかった。そこを軸にして物語を展開させていきたいという考えは、最初に清水監督にもお伝えし、“やりましょう”と背中を押していただきました」と、本作ならではの視点も語った。

最後に、樋口は「「八つ墓村」というのは、本当に色々な想像力を刺激して、様々なイマジネーションを生むものなので、小説を読み、本作の清水崇監督版を入り口に、野村芳太郎監督版、市川崑監督版へもアクセスしてみると、それぞれの異なる味わいが非常に面白いと思う。日芸の学生として、自分が作り手だったら作品をどのように料理するか考えてみるのも勉強になると思う」と映画学科で学ぶ学生たちへコメント。続けて尾ケ井は「助手時代に古賀教授から言われた“今度はゲストで帰ってきてください”という約束を14年越しに果たせました。ぜひ、友人を誘って映画館へ見に来てください」と学生たちにアピールした。

講義の最後には映画学科の生徒たちとQ&Aも実施。細かなシーンの意味や、演出の意図など、映画業界を目指す生徒たちらしい熱心な質問が飛び出し、映画制作の奥深さについて学ぶ貴重な講義となった。

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