脚本の岡田惠和は数々の名作を手掛けたラブストーリーの名手だが、この実話に強い魅力を感じたという。

「微塵も揺るがない信念で待ち続けた男、その気持ちに応えて死の淵から復活した婚約者。そんな二人が愛を育んでいく様にフォーカスしよう」

という岡田の言葉から脚本作りがスタート。稿を重ねていく中で、二人の恋愛だけではなく、ヒロインの両親の人間愛も描いた“家族の物語”として、深みのある脚本が完成した。

メガホンは『64-ロクヨン-前編/後編』で重厚な人間ドラマを紡いだベテラン・瀬々敬久に託された。ドキュメンタリー演出の経験もある瀬々は、原作が実話であることを強く意識。
当時の時代背景や空気感を色濃くスクリーンに落とし込み、俳優陣からはリアリティある堅実な演技を引き出した。“8年”という時間の流れをどう描くかについても腐心し、全編を通して地に足の着いた演出を貫いている。