隠し剣　鬼の爪

「たそがれ清兵衛」に続いて製作された、藤沢周平原作＆山田洋次監督の「隠し剣 鬼の爪」。幕末小藩の平侍の慎ましくも凛々しく暮らす様子は、観ているものを爽やかな気持ちにさせ、主人公と心通わす女性のか弱くも芯のある姿に心を打たれます。格好いいチャンバラはありませんが、後半に見たこともない必殺技「鬼の爪」で悪役を暗殺する場面が作品に面白さを付け加えています。ラストに自分の想いを伝えに来た主人公に女性が言ったセリフ「旦那さんのお言いつけでがんすか？」は、いじらしくも愛おしさを感じさせ、エンドロール中は静かなやさしさに満たされる、そんな素敵な作品です。