松竹は、100年に渡り約5,000タイトルの
映画を配給または製作し、映画史に輝く名作から、
コメディ、アクション、カルト作品まで、
さまざまな作品をお届けしてきました。

そんな中から、
“今、観たい映画”を
テーマに選んだ100

をご紹介。
初めて出会う映画から、
今また見返したい作品まで、
新たな感動に出会える作品がきっとあるはず。

松竹社員による渾身のレコメンド文から探すもよし、
気になる#タグを直感で選ぶもよし!
とっておきの1本を、
みつけてください!

閉じる
私の好きな松竹映画
内藤由美子
Profile
内藤由美子
シネマヴェーラ渋谷 支配人
  • 永遠の人

    公開年:1961年/上映時間:107分/監督:木下惠介

    Comment
    木下恵介監督が阿蘇の雄大な自然を舞台に描く三十年に渡る夫婦の愛憎劇。夫が犯した罪がもたらす憎しみの連鎖を五章形式で描き、語りとスパニッシュ・ギター、コーラスで物語る手法はギリシャ悲劇を思わせる。”空気のような”、”子はカスガイ”的な日本的夫婦像を完膚なきまでに破壊する高峰秀子が素晴らしい。日々夫への憎しみを育て、笑わず、息子が自殺してもなお恨みは続く。対する仲代も妻への執着を捨てられない夫を好演。
    『永遠の人』とは誰なのか。妻のかつての恋人(佐田啓二)だとしたら、結ばれなかった故に忘れられない夢のようなもの。宿命的に結びついた夫婦こそ、互いにとっての永遠の人なのかもしれない。最後に天啓のようにもたらされる和解の演出は、これが映画だと言いたい素晴らしさ。三代に渡る話を100分にまとめる木下の演出のスピード感と、美しい山並みや田園を映し出す名ショット。アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた凄絶な傑作。