松竹は、100年に渡り約5,000タイトルの
映画を配給または製作し、映画史に輝く名作から、
コメディ、アクション、カルト作品まで、
さまざまな作品をお届けしてきました。

そんな中から、
“今、観たい映画”を
テーマに選んだ100

をご紹介。
初めて出会う映画から、
今また見返したい作品まで、
新たな感動に出会える作品がきっとあるはず。

松竹社員による渾身のレコメンド文から探すもよし、
気になる#タグを直感で選ぶもよし!
とっておきの1本を、
みつけてください!

閉じる
私の好きな松竹映画
黒沢清
Profile
黒沢清
映画監督
1955年兵庫県神戸市出身。立教大学在学中より8ミリ映画を撮り始め、1983年商業映画デビュー。『CURE』(97)で世界的に注目される。『アカルイミライ』(02)は第56回カンヌ映画祭コンペティション部門に出品された。その後も『トウキョウソナタ』(08)で同映画祭ある視点部門審査員賞、『岸辺の旅』(14)では監督賞を受賞。初のフランス映画『ダゲレオタイプの女』(16)などがある。最新作は今年秋に公開される『スパイの妻』(20)。
  • 風の中の牝鶏

    公開年:1948年/上映時間:83分/監督:小津安二郎

    Comment
    『晩春』の直前に撮られた小津最大の問題作。市井の民が戦争をどう乗り越えていくかをぎりぎりまで問い詰め、映画はついに一度死を経験しなければそれを成し遂げることはできないという結論に達する。その責任をひとり背負った田中絹代が壮絶だ。彼女を含め、夫も息子もだんだん死人に見えてくるところが凄まじい。もしこの作品がまっとうに評価されていたら、その後の小津のフィルモグラフィはまったく違ったものになっていたと思う。しかしそうはならなかった。このことに小津は意気消沈し、映画で真正面から戦争を扱うことをきっぱりとあきらめ、みなが知る後期のスタイルへと華やかに変貌していくのである。
  • 日本の夜と霧

    公開年:1960年/上映時間:107分/監督:大島渚

    Comment
    この映画の登場で政治ディスカッション映画というまったく新しいジャンルが切り開かれた。世界が驚いたのも無理はない。カメラの強烈な長回しと切羽詰まった俳優たちの熱演が異様な迫力を生み、とりわけ後半で津川雅彦たちが刑事に逮捕される描写は圧巻だ。また、激しい政治口論がしばしば歌合戦へと変化していくあたり、後にギリシアのテオ・アンゲロプロスに多大な影響を与えたことが手に取るようにわかる。しかしそういう表現が可能であったのは、もちろん大島渚の恐るべき才能もあるが、優秀な俳優たちと、どんな大胆な撮影形態にも動じることない松竹撮影所の底力があったからだろう。この革新的な作品を生んだ母体が撮影所であったことに今更ながら驚く。