松竹は、100年に渡り約5,000タイトルの
映画を配給または製作し、映画史に輝く名作から、
コメディ、アクション、カルト作品まで、
さまざまな作品をお届けしてきました。

そんな中から、
“今、観たい映画”を
テーマに選んだ100

をご紹介。
初めて出会う映画から、
今また見返したい作品まで、
新たな感動に出会える作品がきっとあるはず。

松竹社員による渾身のレコメンド文から探すもよし、
気になる#タグを直感で選ぶもよし!
とっておきの1本を、
みつけてください!

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私の好きな松竹映画
本木克英
Profile
本木克英
映画監督
松竹の社員助監督、プロデューサーを経て、「てなもんや商社」で監督デビュー。多彩なジャンルの娯楽映画やドラマを手掛ける。主な最近作は「超高速!参勤交代」「空飛ぶタイヤ」「少年たち」「居眠り磐音」など。
最新作「大コメ騒動」が2021年公開予定。
Photo by Isao Nakamura
  • 陸軍

    公開年:1944年/上映時間:87分/監督:木下惠介

    Comment
    木下惠介監督の晩年に師事した者としても挙げる一作。太平洋戦争開戦三周年と称して、陸軍省の要請と全面協力で製作された。幕末から続く60年間の軍国精神を小倉の家族を通して重苦しく紹介する展開を、終盤鮮やかに覆す演出は天才のなせる技である。
    出征する息子への母の本心を捉えつつ、本物の博多連隊数千人と沿道の大観衆を様々な手法で組み合わせ、適切な音楽とともに高揚させるスペクタルは斬新で、今の日本映画では到底敵わない感動を呼ぶ。
    「子供に死んでこいなんて思う母親はいないでしょ」と、生前木下先生はさらりと語った。本作が「女々しい」 と当局の逆鱗に触れて上映禁止になった後、「映画なんて辞めちゃおう」と、若き天才は松竹に辞表を出し、故郷の浜松に帰った(原恵一監督「はじまりのみち」が描いている)。
    映画監督の生き方としても敬服し、心に留める傑作である。